Tottori diary

漁師だからこそ伝えられるとっとりの「最高」。|鳥取の漁師もとき

鳥取の漁師もとき

PROFILE

鳥取県鳥取市在住。新潟県出身で、東京都から10年前に妻の地元である鳥取県にIターンして漁師となる。3年前から始めたYouTubeの「MOTOKI飯チャンネル」で、好きな料理や漁業、お酒を楽しむ姿を紹介して人気を集めている。

 「プハー、最高!」

 

 いつもの決まり文句。大きなジョッキを傾け、大好きなプレーンサワーを流し込む。グビグビ、グビグビ。目を閉じる。しばらくその幸せな時間を噛み締めるように沈黙が続いた後、腹から絞り出すような「最高」は、見ているこちらもお酒を飲みたくなるくらいに美味しそうなのだ。

 

 「自分の好きなことを発信しているんです。このチャンネルがきっかけで少しでも鳥取県のこと、漁師のことを知ってもらえたらいいなと思っています」

 

 鳥取の漁師、もときさん。彼のYouTube「MOTOKI飯チャンネル」は、趣味の料理、本業の漁業、そして、大好きな酒飲みに関することを紹介するアカウントで現在フォロワーが1.1万人いる人気ぶり。漁師だからできる情報発信で、とっとりの魅力を伝えている。

「天職」といえる漁師の仕事

 取材の待ち合わせは、一月中旬の午前2時。境港市の境港に、岩美町の底引き船「大成丸」が帰港した。もときさんら漁師たちが船から運び出すのは、旬の松葉ガニをはじめ、冬の日本海で獲れる海の幸。慣れた手つきで次々に松葉ガニを選別していく。

 

 「18歳で鳥取県にきて、19歳で漁師になりました。昔から魚を獲ったり釣ったりするのが好きだったし、料理もするので、自分で獲った新鮮な魚も使えたら一石二鳥だと思ったんです。でも、やってみたらめちゃくちゃきつい仕事で、何回もやめようと思いました」

 

 たまたま知人からの紹介で始めた漁師の仕事。10代の頃からさまざまな仕事を経験してきたが、想像以上に厳しい仕事に根をあげそうになった。

 

 「まず寝られないのがきついんです。船の魚倉がいっぱいになるまで3〜4日漁に出て、基本ゆっくり寝る時間なんてありません。カニの忙しい時期、ハタハタが忙しい春先は、2日間長靴履きっぱなしとか。風呂なんてもってのほか。24時間働きっぱなしで、3、4日ですからね」

 

 それでも、だんだんと仕事にも慣れてくると、改めて日本海で獲れる魚の美味しさに感動したし、その美味しさを届ける仕事にやりがいを感じるように。今ではこの仕事を「天職」だと思うまでになった。

漁師ならではのYouTube

 漁師仲間の中でも、料理の腕前が知られているもときさん。「料理のことを載せたらいいんじゃない?」と、周りからの勧めもあってYouTubeを始めたのが3年前。最初は料理をメインにしていたが、ひょんなところから人気が出始めた。

 

 「視聴者さんから『漁師さんってどんなご飯を食べているんですか?』とか『お酒は飲むんですか?』など、漁師しか知らないことや僕自身のことに興味を持ってくださる人が出てきて。だったら、好きなことを全部出してみようかなと思って、漁業のことや普段お酒を飲んでいる場面とか紹介するようになったんです」

 

 これが思いの外「バズった」。この日も松葉ガニの荷下ろしから選別の作業まで、スマートフォンで作業風景を撮影していたが、漁業の動画では船の上で漁をどのようにしているかを丁寧に紹介している。大変な仕事をしながらも大漁に喜ぶ顔や仲間と働く姿は、なかなか一般の人が目にする機会も少なく、貴重な映像だ。

 

 また、なんといってもファンが多いのが、もときさんの暴飲暴食っぷり。お酒が大好きというもときさんがいつも新鮮な魚を捌いて美味しそうに食べ、ひたすらお酒を飲む。船内で仲間たちと漁師飯を囲むシーンもあれば、帰港して境港市にある行きつけの居酒屋でおすすめメニューを食べるシーンもある。

 

 「やっぱり大変な仕事のあとのお酒は欠かせないし、仲間と楽しく飲んだり、好きなお店を紹介したりするのも自分らしいかなって。普段の様子、そのままです(笑)」

 

 松葉カニの刺身や、鳥取県東部で「ババア」と呼ばれるタナカゲンゲの鍋。とっとりで獲れる魚介類を頬張り、うまそうにジョッキを傾けるもときさん。飾らない仲間たちとの会話や宴会の様子。語り口もそうだが、なんとも肩の力が抜けたところもまた良いのだ。もときさんの「普段」が特別な光景として映っている。

とっとりの魅力をこれからも発信したい

 「動画の発信は、結構大変。漁の合間に撮影や編集をするので、一カ月に一本出せたらいい方です。今でこそ慣れてきたけど最初はなにもわからない状態から始めたのでもっと大変でしたね。でも、更新頻度も少ないのに『待っていました!』と言ってくれる視聴者の方がいて、趣味だけどすごくやりがいがあるんです」

 

 住めば都というが、この10年ですっかり鳥取県が好きになった。仕事場でもある豊かな海があるのはもちろん、川釣りも好きで山が近いのも嬉しいのだとか。春先はハタハタ、夏は白イカ、冬は松葉ガニ。「季節ごとの旬のものが美味しいし、空気が綺麗だし、人が多すぎないのも僕は好きですね」と話す。

 

 取材も終わる頃には午前6時前になっていた。もときさんが「今みんな朝飯食べているんで、良かったら食べて行きませんか?」と誘ってくれ、船内の奥の部屋にいくと船長さんが「おー、飯食ってけよ」と輪に加えてくれた。

 

 「これ、オトクの煮付け。漁師の人たちはめちゃくちゃ好きなんです。醤油で炊いて、しゃぶりついて食べるんです。帰りにお土産にカニも用意しているんで、家族で食べてください」

 

 「これからも漁師の自分らしく、とっとりを伝えていきたい」ともときさん。船の中で食べる漁師飯は格別で、もときさんが噛み締めるようにこぼす「最高!」の気持ちが分かった。

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【鳥取の漁師もとき】

NIIGATA→TOKYO→鳥取

田舎から都会に。そしてまた田舎にUターン

(好きな事)創作ラーメン🍜お酒🍺魚取り🐟

お酒を片手に、僕のYouTube chに遊びに来て下さい🍺

お陰様でYouTub登録者数1万人🙇

こちらのチャンネルでは、漁で穫れた新鮮なお魚達を使って、漁師が作る「漁師飯」「漁業」「酒飲み」 をコンセプトにしたチャンネルです^_^

Instagramにも料理を沢山載せていますので是非見に来てください!!

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