Tottori diary

自然体でいられる場所で、やりたいことを形に。|福留大樹

福留大樹

PROFILE

大山町出身。シンガーソングライターを目指して上京した大樹さんは2017年にUターン。会社員を経て、東京の飲食店で働いた経験を活かして22年に「CAFE2020」を開店。地元農家さんの紹介冊子を作ったり、交流イベントを開いたりするなど、発信やコミュニティづくりも積極的に行なっている。

JR大山口駅のすぐ目の前に、青色の壁が目立つ二階建てのカフェ「CAFE2020」がある。店内に入ると、壁にレコードが飾られていたり、オリジナルグッズの帽子やTシャツが並べられていたり。店内のいたるところに、二人の「好き」が散りばめられていた。

 

「2階の窓から見える大山や、駅のホームからは日本海が一望できるんです。この景色を見るのが好きだし、帰ってきて気づいた地元の良さはたくさんありますね」

 

にこにこした顔で語るのは福留大樹さん。東京から大山町にUターンし、妻の麻実さんと一緒にカフェを開いた。農家さんから直接仕入れる地元野菜を使った料理は評判で、自分たちが楽しいと思うこともどんどん挑戦中だ。

人生の転機。Uターンして開業

人生、どうなるかなんてわからない。

 

シンガーソングライターを目指して上京した18歳の自分に、地元で飲食店をやっている姿なんて想像できなかっただろう。高校時代から東京にレッスンに通うほど音楽に熱中したが、20代後半になって結婚を考えたとき、地元に帰ることを決めた。

 

「東京時代は音楽をやりながら飲食店で働いていて、鳥取に帰ったらいつか店をやりたいという夢もあったんです。ただ、東京から妻に鳥取に来てもらう立場なので、まず定職に就かないといけないと思って営業の仕事をしていました」

 

転機は、コロナ禍になったこと。仕事が不安定になったとき、大山町が空き家をリフォームする創業支援の補助金制度があることを麻実さんがたまたま見つけた。

 

「前からやりたいと言いながら多分結婚もして夫は腰が重くなっていて(笑)。コロナ禍でいろんなことが変わりましたが、やるなら今じゃない?と背中を押しました」

 

10年ほど空き家になっていた物件をリノベーション。店名は、挑戦を決めた年でもあり、娘の綺七ちゃんが生まれた年でもある2020年に、「徒然(つれづれ)」という読み方を加えた。

 

「徒然って退屈っていう意味があるんですが、なんでもない日もここに来れば楽しくなれる。誰かの日常に何かスポットを当てるような店になりたいと思ってつけました」

地元のつながり生かしたお店

「僕は『料理人』とは自分であまり言ってないんです」と話す大樹さんだが、東京時代にパスタ屋からスペイン料理、バーテンダーまでいろんなお店でキッチンに立ってきた経験と、料理に対するまっすぐな思いがある。

 

「ダシを取ったり、ドレッシングを自作したり、ひとつひとつこだわりはあります。食材や自分のアイデアを組み合わせ、何が作れるかを考えるのが楽しいですね。料理はこう作らなきゃいけないというものだとおもしろくないし、もっと自由でいいと思うんです」

 

食べ応え十分の「2020ワンプレート」や「パスタプレート」が人気で、他にも美容や健康に気づかった地鶏のがいな鶏や大山ブロッコリーを使った「フィットネスサラダ」、東京時代の思い出の味をアレンジした「ガリジンポーク」、ケバブを使って方言をもじった「ドゲナサンド」と、選ぶのも迷うほど。

 

今も音楽を愛する大樹さんにとって、料理も一つの表現。

そこには「楽しい」「楽しんでもらいたい」という気持ちがある。

そんな大樹さんの料理を支えてくれるのが、地元農家さんが作る新鮮な野菜だ。

 

「帰ってきて知り合った人や地元の同級生や後輩もいて、その日に収穫したものをお店に直接持ってきてもらっています。本当においしいんですよね」

 

そんな農業を担う後継者が不足し、耕作放棄地も増えてきた。自分たちでできることはないか、と考えた二人は、農家さんを紹介する冊子を作って、お客さんに読んでもらっている。

 

「ちょっとでも農業をやってみたい人を増やしたいし、こういう人たちが作っていると知ってもらって食べてもらいたいなと思いました」

 

そんなつながりの中でお店ができていることも、やりがいであり、喜びだ。

自然体でいられる場所

「もっとここに住む若い人が楽しいと思える地域にしたいし、そのために自分たちができることをやって、自分たちも楽しみたいです」

 

思いついたらやってみる。

人口減少の助けになればと毎月一回のマッチングパーティーも、そのひとつ。

大樹さん自らがマイクを握って進行役を務めるとか。

 

「それをやることで、ここに来たことがなかった人も来てくれるかもしれない。それだけじゃなく、これからも、何かの小さなきっかけづくりをしていきたいと思っています」

 

麻実さんも、鳥取で暮らす時間の流れが好きだと教えてくれた。

 

「東京にいた頃は、頑張らなきゃ、とか、おしゃれでいなきゃ、とか。おしゃれすることは好きですけど、それをどうしても人と比べたり、それで焦ったり。でも、鳥取にきて、人と比べることが減りました」

 

自然体でいられる、この場所で。

自分たちのやりたいことをこれからも形にしていく。

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リノベーション古民家カフェ

夫婦経営 @fddk919 @asausu

ランチ・カフェご予約不可

住所:鳥取県西伯郡大山町国信543-22(JR大山口駅前)

時間:11:30~21:00(dinnerは水~土のみ)

月曜定休、その他 鳥取のくらし#とっとりdiary

鳥取県大山町、大山口駅前に5月OPEN予定のCAFE2020は“for DAISEN , from DAISEN”を軸に農業と人とを繋ぐニューノーマルなカフェを目指します。
このチャンネルでは大山町の魅力やカフェに関すること、夫婦経営のことなどを中心に発信していきます!

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