自由な発想をつなげ、鳥取の未来をつくろう。|とっとり若者活躍局
若者な発想力を生かし、地域づくりを推進しようと鳥取県が2023年度に募集して立ち上がったチーム。メンバーは高校生から社会人30代までの36人。ふるさとのことを主体的に考え、県への政策提案や6つのプロジェクトに分かれて地域の魅力発信などを進めている。
模造紙にびっしりと付箋が貼られ、ホワイトボードに文字が並ぶ。日曜の午後、鳥取市役所にある市民交流センター「麒麟square」。県内の高校生から30代までを対象に、地域づくりや情報発信に関心がある若者で結成された「とっとり若者活躍局」の定例会議にお邪魔すると、メンバーたちが熱く話し合っていた。
境高校3年の山本昊輝さんは、境港市から毎月通っているという。
「鳥取県の公式LINEで募集されているのを知って、若者だけで集まってやる機会ってなかなかないから面白そうだなと思って参加しました。これからの未来を担うのは自分たち若者。社会人の人と話せる機会もなかなかないし、毎回とても楽しいです」
学生と社会人が混ざり合い、お互いが自分なりの視点で鳥取のことを語る。 会場には、前向きな空気が流れていた。
若者の声が集まることで生まれる力
「学生から社会人まで幅広い年代がいるので、経験や知識やいろんなことが違います。なので、こうやって目線を合わせながら若者世代がつながり、一緒に活動できる機会があるのはとてもいいことだと思います」
そう話すのは、プロジェクトを担当する県民参画協働課の金田健志さん。
始動は2023年8月。希望者を募集したところ36人のメンバーが集まって発足された。若い県民目線で自由に考えることで新しい地域づくりの可能性を広げようという狙いだが、金田さんは手応えも感じている。
「来年度予算に向けて、県への政策提案のアイデア出しをしてもらいました。現在は、自分たちの興味がある分野に分かれて6つのプロジェクトを進めてもらっているところです。仕事や学校もある中、休みの日にわざわざ集まって議論する。それは熱意がないとできないことだと思うんです」
山本さんのグループでは「Connect Café」と題して学生と若手社会人が本音で語り合える場を作り、他にも、地域活性化を目指して空き物件が増えつつある商店街のシャッターを子供たちと一緒にペイントする企画、インバウンド戦略に繋げるために留学生の氷ノ山モニターツアーなどがある。
若者目線の自由なアイデアが、どんどん形になっている。
鳥取での挑戦を決めて移住
それぞれ想いを持って集まっている若者活躍局。その中で、情報発信をテーマにしたチームをリーダーとしてまとめるのが小林大二さん。愛媛県新居浜市出身で、3年前に愛媛県から江府町地域おこし協力隊として鳥取県に移住した。
「親族経営で50年やっている会社で総務課長をしていたんですが、そのまま年を重ねていく将来が見えてしまった時に、会社にいるよりも自分の実力で勝負してみたいと思うようになりました」
社業とは別に、自分でブログ制作やwebサイト制作、映像制作などを学び、パソコンの資格取得など独立の準備を進めた。
「いきなり起業となるとハードルは高いので、ステップアップとして地域おこし協力隊という制度はありがたかったです。そう思った時に、江府町が町公認のYouTuberを募集しているのを見つけ、いいものを作っていたらどこであろうと人は見てくれると思ってチャレンジしました」
そこから小林さんの挑戦が始まった。
情報発信力を生かして地域のために
「県西部で唯一ケーブルテレビを導入していない町。自分たちの町のメディアとなるようなコンテンツを作りたいと思いました」
始めたのが毎月更新する「江府町NEWS」。オープニングはまるでテレビ番組が始まったかのような軽快で躍動感あふれるショートムービーが流れ、事象の羅列にならないように工夫した。その他にも、地域で愛されてきた町観光大使キャラクター「えびちゃん」をVTuberにしたり、地元の特産品を使った料理番組「奥大山キッチンクラブ」も開設したり、次々にオリジナリティーを発揮した。
移住2年目の2022年には年間50本もの映像をYouTubeにアップ。町のことに詳しくなる中で、気のおけない友人たちも増えてゆき、もともと好きだったというアウトドアをするのにも最適な鳥取の環境を満喫している。取材日も小林さんの友人夫妻がジビエ肉などを焼いてもてなしてくれ、そうした距離の近さも鳥取の良さ、と小林さんは話す。
「自分はここで情報発信に関することをやってきたので、卒業後も企業、行政などの広報、情報発信全般に関わることがやっていきたいと思っています。若者活躍局の活動は、もっと鳥取全般のことを知ることができるチャンスだし、自分の経験が誰かに共有できたらいいなと思いました」
若者活躍局の会議でも、小林さんがにぎやかに年下のメンバーたちと意見を交わす姿があった。チームは今、情報の伝え方から考えているといい、写真の撮り方や文章の書き方をプロに学び、発信力を高くしていくつもりだ。
「鳥取で自分のやりたいことが生まれ、生きる目標ができた。もっと鳥取のことを知り、人とつながりたい。できることはまだまだあると思うんです」
一人一人が自分なりに鳥取のことを考え、動く。
その先に、鳥取の未来がある。
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