Tottori diary

特集
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日々を楽しむ気持ちが伝えるとっとりの魅力

コロナ禍をきっかけに、とっとりへウェルカニコーディネーターとして3年前に鳥取県に移住し、全日空の客室乗務員と鳥取県職員の二つの仕事を掛け持つ金井塚さん。県外出身者である彼女が日常を過ごす中で見つけたとっとりの魅力を伝える「とっとりdiary」をスタートした。気になるところはどこにでも足を運ぶフットワークの軽さで、アクティブにいろんなことを体験する楽しそうな姿が人気で、とっとりの魅力を多くの人に届けている。

金井塚 千秋

とっとりへウェルカニコーディネーター/客室乗務員

金井塚 千秋

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鳥取砂丘に魅了され、2021年に埼玉県から移住。客室乗務員として国内線・国際線の乗務をしながら、とっとりへウェルカニコーディネーターとして鳥取県庁に勤務。得意の語学を活かしてとっとりの魅力を国内外へ発信している。

二人三脚で続けてきた「とっとりdiary」

 怪しかった天気予報が嘘のように、見事な晴天に恵まれた取材日。集合場所は、湯梨浜町にある日本最大級の中国庭園「燕趙園」に現れた金井塚さんは「私、晴れ女なんです」と笑顔を見せた。この日は、いつも動画撮影をする際の“相方”である県人口減少社会対策課の西山春菜さんも同行し、「とっとりdiary」の取材も兼ねて園内を回った。

 

 金井塚さんが場所を決め、西山さんがすかさずスマートフォンを構える。「はい、いいね、いいね。いいよー」。慣れた様子で声をかけ、何十枚もシャッターを押す。金井塚さんも、西山さんもとても楽しそうだ。

 

 「西山さんがいるから私が自然な表情で写っているんだと思います。西山さんはいつも目配せをしてきたり、茶々を入れてきたり、ついつい笑っちゃうんです」と金井塚さんが言えば、「やっぱりこっちが心を開いて、心を開いてもらわないと。あ、調子に乗っちゃいました(笑)」と西山さん。息ぴったりの二人がまた笑う。

 

 「とっとりdiary」を始めた頃は、金井塚さん一人で取材していたが、ある時から西山さんが一緒に出かけるようになった。月に3〜4回程度、一年間に50回以上は取材に行くといい、阿吽の呼吸で撮影が進んでいく。いや撮影というよりは、仲の良い友達同士が楽しそうに過ごしていると言っては怒られるだろうか。

 「最初から目的を持って取材に出かけることもあれば、天気がいいからあっち方面に行ってみようとその場の直感で決めることも。撮り始めると時間をつい忘れてしまう」(金井塚さん)

 

 この日撮影した写真は約1000枚。魅力あるコンテンツになった理由がわかった気がした。

情報でなく、心が動くままに

 全日空の客室乗務員で、国内外を飛び回っている金井塚さん。SNSの発信は不慣れな方だった。

 「個人的にはプライベートとかを誰かに見せたいタイプではないので、最初の投稿の時、いろんな人に見られるんだと思うと緊張で手が震えたんです(笑)。文章も何度も書き直して。そんな頃もありました」
と振り返る。今でこそ自分自身が登場することが多いが、始めた頃は鳥取県の豊かな自然風景や特産品の食べ物などを撮影していた。でも、どこかしっくりとこなかった。

 

 「どうやったらその魅力が伝わるんだろうってずっと考えていたんですね。そしたら、やっぱり情報だけよりも自分が思ったことや気持ちを書いていった方が自分にしかできないことじゃないかと思いました。私が移住して感じたことをシェアし、そこからとっとりを見てほしいなと思うようになりました」

 

 どこかから得た情報というよりは、自分自身が感じたことを大切に。そうした意識が、少しずつ自分を変えていった。「とっとりdiary」の発信は生活の一部になり、どちらかと言えばインドア派だったが、山や海に、旬の野菜や果物の収穫体験に出かけるように。なんでもやってみて、楽しんでみることで日々の暮らしはうんと楽しくなった。

大好きになったとっとりの情報を発信する

 「鳥取県に来て、とっとりdiaryをやって、これまでの自分だったら気づけないことも気づけるようになったと思います。季節ごとに違う風景だったり、旬の食べ物だったり、自然とアンテナを張っているというか。やっぱり自分がいいなと思うものを誰かに見てもらって反応があると嬉しいです」

 

 投稿を楽しみにしてくれる人やそこからの反応も増えていった。「探すっていうよりは、面白いな、綺麗だな、美味しいなっていうものをあげているだけ」と話すが、楽しみながらも情報発信の仕事に対する責任や思いも強くなった。西山さんも金井塚さんの変化を感じているという。

 

 「下書き用のアカウントもあって、まずはそこに掲載して並び方の見え方を気にしたり、上手く撮れなかったらせっかく撮っても載せなかったり、金井塚さんの一つ一つのこだわりがとっとりdiaryを確立させてきたと思います」

 

 鳥取県に来てもうすぐ三年。暮らしの中でも、情報発信の仕事を通しても、人の温かさや自然の豊かさなど、とっとりの魅力を肌で感じてきた。県内全域を飛び回りながらも、「いまだに取材ネタがありすぎて尽きることはありません」と金井塚さん。

 

 「金井塚さんと一緒に過ごす中で、地元民である私もとっとりの見え方が変わったんです。何もないと思っていたけど、こんなにもいいところなんだと思わせてくれました。今は自信を持って鳥取県はいいところだと言えます」(西山さん)

 

 とっとりdiary。まさにその名が表すように、とっとりのなにげない日々にある魅力を伝え続けている。