Tottori diary

特集
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当たり前にある食の豊かさ

地域の魅力を語る上で欠かせないものの一つが、その土地ごとの自然環境がもたらす「食」だろう。大山や日本海など自然に囲まれる鳥取県の「食」を紹介しようと、大阪府出身で鳥取に移住して18年のフリーアナウンサー田中友香理さんと、鳥取県出身で今は大阪府でアイドル活動をしている山田あえらさんが農家さんを訪問。野菜の収穫体験をしてもらい、その場で調理して味見。「食べることが大好き」という二人が、食の素晴らしさに触れた。

山田 あえら

アイドル、モデル

山田 あえら♥
ネテルダイヤ

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北栄町出身。大学時代に過ごした大分でモデル活動をはじめ、地元鳥取県でUターンしたのち、大阪府を拠点にアイドルグループ「ネテルダイヤ」に加入してアイドル活動をスタート。

 
田中 友香理

フリーアナウンサー

田中 友香理

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大阪府出身。山陰放送(BSS)の契約フリーアナウンサーとして2006年に米子市へ。主にラジオ放送番組を担当し、報道、情報番組のリポーターなど幅広く活躍。現在は、BSSラジオ「午後はドキドキ!」を担当し、同局気象予報士の夫・石川博康さんとの掛け合いも人気。グルメ情報の発信活動も活発に行なっている。

自然の恩恵を受けて育つ野菜

 「おはようございます、初めまして。今日はよろしくお願いします」

 

青空が広がる秋の朝、長靴持参で集合した田中さんと山田さん。今回お世話になる國吉農園(大山町)の國吉美貴さんが笑顔で出迎えてくれた。國吉さんは、岡山県出身。10年前に大山町に移住して農業を始め、有機栽培で45種類の野菜や米、蕎麦や大豆まで幅広く栽培している。「だいたい栽培面積は6ヘクタール。50mプールを60枚くらいのイメージですね」と聞き、目を丸くする二人。

 

大山ブロッコリーが有名な大山町だが、11月半ばに収穫時期を迎えるようで(取材は10月末)、この日は、白菜や白ネギ、人参を収穫させてもらった。

 

「野菜の収穫は、子供の頃におじいちゃんの家で手伝っていた記憶があります。イチゴの収穫とか、サツマイモ掘っていたりする映像が残っています。なんか懐かしいですね」

 

と北栄町出身の山田さんが初めてとは思えない手つきで白菜を収穫していくと、「ほとんどしたことがない(笑)」という田中さんも徐々に慣れ、大きな白菜を手に嬉しそうな顔を見せた。

 

國吉農園のある大山の麓は、黒ぼく土という土壌で、火山灰の堆積と植物の腐食が母体となっており、真っ黒で物理性と通気性と排水性に優れたミネラル豊富。そして冬には雪が積もる環境が野菜や米作りにも適している。

 

「土壌も良いのと、ここは水が豊富。冬は雪が降るので、それが溶けて地下水になるんです。その水があるおかげで田んぼとか野菜が作れている。僕も昔は雪が積もる冬が嫌いだったんですけど、ここに住むようになって野菜作るようになってわかったんです。そういう自然の恵みがあるから、雪が降る場所に人が住むんだなぁとわかりました」(國吉さん)

嫌いだったはずが、好きな食べ物に

 その自然の恵みを受けて育った白ネギを収穫した二人。すると、田中さんの手が止まらない。腕に抱えきれなくなるくらい次々に白ネギを採っていく。実は鳥取に来てから白ネギが大好きになったという。

 

「大阪にいた頃は白ネギを好んで食べなかったけど、今では常備野菜になっていて、いくらあっても困りません(笑)。白ネギとかもスーパーとかに売っているのも大阪と鳥取じゃハリが違う気がするし、食べてそのおいしさにびっくりして。あえらさん、控え目やな(笑)。私のように欲のままに採らないと(笑)」(田中さん)

 

「確かにわかります、それ。気持ちの問題かもしれないけど、鳥取と大阪の野菜とかも味が違う気がするんですよ。すごい、友香理さん、収穫量が違う(笑)」(山田さん)

 

田中さんがブーケのように白ネギを抱えるのを見て大笑い。その後は白ネギの隣に植えられているニンジンも採らせてもらい、収穫体験は終了。せっかくなら新鮮な野菜を食べてみようと、國吉さんのご厚意で調理道具を準備いただき、調理して食べてみることに。

 

「実は…、調理師免許を持っているんです、私」と山田さんの告白に、「じゃあ、もうお任せします!私は食べる担当でいきます(笑)」と田中さん。白ネギをフライパンで焼いたものにシンプルに塩を振ったものと、白菜を塩揉みして寝かせたものにごま油と昆布を足したもの、パパッと2品が完成した。

 

「めっちゃ、美味しい!ネギも甘い!いくらでも食べられます、これ」と大興奮の二人。“青空キッチン”は、食欲そそる匂いと笑いに包まれた。

当たり前にある、当たり前じゃないもの

「北栄町(旧大栄町)出身なので、実家の近くにはスイカ農家さんも多いし、お裾分けでもらう量が半端なかった記憶があります。スイカも1日1個とか頑張って食べていたんですけど、県外に出てみると高級なスイカなんだと改めて知り、鳥取の日常が特別だったことに気がつきました」(山田さん)

 

県外に出て、鳥取の当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないと知った山田さん。

一方の田中さんは、普段は気になるお店の情報発信や三人の子供を育てる母として家庭料理を紹介していて、鳥取に来てから食の楽しみ方が変わったと話す。

 

「今までは『今日はこれが食べたいなぁ』とメニューで考えていたのが、鳥取は食材が美味しいので『この旬の野菜を食べたいから、これにしよう』と食材から決めることが増えた。山菜とかも馴染みがなかったけど、春になるといただくこともあるので天ぷらにしてみるなど、旬を感じる食生活になりましたね」(田中さん)

 

この日、國吉農園で新鮮な野菜を収穫し、ニンジンを生でかじらせてもらったり、素材の良さを活かした料理をいただいたりして、鳥取の「食」の素晴らしさに触れた。

 

「本当に食べさせてもらった野菜が美味しかった」

 

そう口を揃えるように、
当たり前のようにある「美味しい」は、当たり前じゃなく、
それこそ鳥取が誇る豊かさなのだ。