大きな転機となった2024年

　「2024年は、個人的にとても自信になった一年でした」

　12月半ば、アイドル活動の合間を縫って鳥取県に帰省。日本最大級のフラワーパーク「とっとり花回廊」で佐々木ひまわりさんに会った。一年ぶりのインタビューで、生き生きとした表情からもこの一年の充実ぶりがうかがえた。

　7月にはファン待望のファーストアルバム「DANCE! DANCE! HAPPY! WORLD」をリリース。関東圏で発売イベントを行い、特に子ども世代からの人気を集めるなど大きな手応えと自信を得たという。

　「あとはやっぱり、このとっとりdiaryの活動がとても大きかったです。鳥取県で活動する機会ができたり、鳥取県出身と知ってもらう機会も増えたりしました。一度、東京の駅でリリースイベントのビラを配っている際、『鳥取県出身の方ですよね？』と同じ鳥取県出身で東京在住の方に声をかけられ、見ていただいているんだなぁと思いました」

　10月には「ねんりんピック　はばたけ鳥取2024」が鳥取県内で催された際、鳥取駅前の風紋広場でソロライブを行った。いつもは六人グループでステージに立ち、ソロは初めての経験だった。

　「鳥取県の人が私のことをどれだけ知ってくれているかわからなかったので、最初は有名な曲のカバーをしようかと思っていましたが、たくさんの人に今の自分たちの曲を知ってもらいたいと思って自分たちの曲を歌うことにしました。六人のパートを一人で歌うのでファンの人も驚いてましたね。」

「ねんりんピック　はばたけ鳥取2024」でのソロライブの様子

アイドルとして日々挑戦

　芸能の道で生きていくのは、もちろん簡単なことではない。でも、自分で決めたことから逃げずに、毎日向き合い続けてきた。2021年にデビューしてから、SNSのX（当時はTwitter）とInstagramを欠かさず毎日投稿をしている。

　「学生の頃はInstagramのアカウントを持っていたくらいで、でも人の投稿を見るためで自分で投稿することは全くと言っていいほどなかったのに、今じゃ毎日ですからね（笑）。ちょっと空いた時間でも、次は何をあげようかな、こんなことが面白いかな、これがいいんじゃないかなって考えています」

　主に、Xではアイドル活動の情報を、Instagramでは自撮りや三脚を使って撮影した、自分自身が写る写真をあげている。現在、Instagramのフォロワー数は2.1万人。「今日くらいは…」と挫けそうな日も、自分を鼓舞し続けてきた結果だ。加えて最近力を入れているのが短いムービーをつくるTikTokだという。

　「どういう風なやり方がいいか難しく悩んでいたんですが、アイドルの自分というよりは自分自身のことを知ってもらおうと思って、鳥取弁で話すようにしたんです。鳥取弁ってこれまで自分でもあまり出してきていなかったし、言葉からでも鳥取県に興味を持ってもらうことにつながればと思いました」

　地方出身者から見た東京、を鳥取弁で語りながら楽しく紹介する映像は、より近い距離感で佐々木さんを感じられ、多くの人に親しまれている。

自分らしく表現していきたい

　一年前より、その笑顔が堂々として見えた。自分自身も変わってきたと自覚する。

　「全力でやり切りたいなってギアが上がった感じ。本当の意味で覚悟ができ、周りからも『ひまわり、変わったよね』って言われるんです」

　アイドル活動にとどまらず、昨年にはファッションブランドのモデルにも起用されたほか、舞台やショートムービーに出演するなど新境地も開拓し、将来的には女優業にも挑戦したいという。やるべきことや進むべき道が見えた今、アイドルはこうじゃないといけない、というアイドル然とした在り方よりも、個人としてもグループとしても他にはない魅力を磨いていきたいと話す。

　「アイドル=かわいい、というイメージがありますが、それだけではない新しいジャンルのグループになっていきたいし、自分自身もより自分らしさを出していきたいと思っています」
その一つが、幼魚好きというのを生かした仕事。2024年に静岡県清水町の幼魚水族館で開かれた「第二回幼魚サミット」に、登壇者として招かれた。自然豊かな鳥取県で育っただけに、「おじいちゃんおばあちゃん家によく海水浴に行っていました」と幼い頃から海が大好き。大学でも海の環境問題を専攻し、自宅でも水槽を置いて幼魚を飼育していた。

　「やっぱり好きなことを発信していきたいって、改めて思いました。私の場合はそれがとっとりと幼魚。こんなに素敵だよって知ってもらうことが、自分も幸せですし。私、いつか日本中の誰もが知っている人になって、鳥取県のふるさと大使になることが夢なんです。それに向かって頑張っていきたいですね」

　自分の「好き」を信じて進む。その力がきっと未踏の道を照らす。