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移住者インタビュー

移住先で「半林半X」という働き方に挑戦

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林業の仕事をメインに飲食店などの派遣先でマルチに働く岸本直季さん。「林業の修業をしながら、地域のことを学んでいきたいです」。

 

新幹線の車掌を経て林業メインの働き方へ

西日本有数の渓谷を有し、林業が盛んな智頭町に、岸本(なお)()さん(27歳)は林業と飲食業などをかけ合わせた働き方をするマルチフォレスターとして2023年8月に移住してきた。

岸本さんは兵庫県宍粟市(しそうし)出身。新卒で就職したJR東海に約6年勤め、関西都市部での駅員や新幹線の車掌として働いていた。しかし、コロナ禍で乗客が激減。接客業がしたくて選んだ仕事だったが、ほかにやりたいことはないかと考えるようになった。

「コロナ禍でお客さまがいないのに働くという状況にモヤモヤしていて……。新幹線の運行は気象状態などに影響を受けます。そこから自然環境に興味を持ち、農業をやってみたいと思うように」

23年に退職し、徳島県で半年間有機栽培の農業に従事。農業にも関係のある森林に目が向き、森を保全しながら自伐型林業ができる地域を探しているうちに智頭町に行き着いた。

 

新たな就職先は、林業をメインに人材派遣を実施する「智頭町複業協同組合」。週3〜4日は林業の仕事、週1回は山菜料理を提供する「みたき園」や豆腐を製造する「(らく)(すい)」などで働き、地域課題の解決に取り組む。若者が集まる自伐型林家集団「智頭ノ森ノ学ビ舎」では、重機やロープの使い方を勉強中だ。正社員でありながら、「半林半X」の働き方ができるのが魅力だった。

 

住まいは組合が提供する古民家のシェアハウスに入居。移住してからは料理が趣味になり、コンニャクのつくり方を教わったり、ピザづくりを頼まれることも。これからは林業を主軸に、野菜や米づくりにもかかわっていきたいと意気込んでいる。

「智頭町は地域ごとの連帯感が強く、活気があるまちです。町内のいろいろな企業に派遣されるので、広くかかわりながら多様なことを学ぶことができて、自分自身の成長にもつながっています。智頭の先輩方に学び、自分のやりたいことを提案できるようにがんばっていきたいです」

 

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山林所有者や地域が自ら森林整備や林業経営に取り組む智頭町。
林道は狭く、大型重機を使わずに森の形を守りながら木を切っている。

 

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町内にある豆腐製造メーカー「楽粹」は、智頭町復業協同組合の派遣先の1つ。
こだわりの豆腐づくりにも携わっている。

 

智頭町(ちづちょう)

鳥取県南東部に位置し、西と南は岡山県北部に接する人口約6300人の町。町の面積の93%をスギなどの森林が占め、江戸時代には宿場町として、明治以降は林業で栄えた。森林資源を活かして「森林セラピー」や子どもの主体性を育む「森のようちえん」を推進。

羽田空港から鳥取砂丘コナン空港まで約1時間15分、鳥取砂丘コナン空港から智頭町まで車で約45分。

お問合せ:智頭町企画課

☎0858-75-4112

https://www1.town.chizu.tottori.jp/chizu/town/emigration/

 

 

宝島社発行「田舎暮らしの本」2024年3月号掲載