鶴尾山(つるおやま)の若桜鬼ヶ城跡に立つ原田真希さんとこまきちゃん。お弁当持参で、きれいな景色を眺めによく来ている。
田舎で子育てを実現 緑いっぱいの自然を満喫
田舎暮らしに憧れていた原田真希さん(36歳)は、2021年に大阪府堺市から若桜町に移住した。長女のこまきちゃん(9歳)が生まれてから、「子どもは絶対に田舎で育てたい!」と、夫の利幸さん(52歳)とともに大阪で開催される、ふるさと鳥取県定住機構の移住フェアに通った。そこで若桜町のパンフレットに心を奪われた。「ポツンと一軒家みたいな、少し不便なところに住みたいと思っていました。若桜町のパンフレットを開いたとき、山と棚田で一面が緑色の風景にひかれました。雪や川など自然の中で遊ぶ子どもたちの姿も掲載されていて、ここがいいと思いました」
コロナ禍で現地見学に行きにくいなか、若桜町移住定住・交流センターを通じてオンラインで空き家を見せてもらい、仕事はハローワークの求人情報をチェックしながら準備を進めた。
実際に訪れてみると、家は思っていたより古かったが、水回りや屋根は改修済みで家電も残されていたため、緊急事態宣言が解除されたタイミングで移り住むことができた。制約があるなかでパッと決められたのがよかったと振り返る。住宅支援補助金や給食費無料など、町の支援にも助けられた。
うれしかったのは、娘のこまきちゃんが毎日楽しく学校に通っていること。町内に1校の小中一貫校に通い、こまきちゃんの学年は8人。人数が少ない分、気にかけてくれる人が多い。地元産のジビエ給食やスキー遠足などもあり、傘踊りチームにも所属して楽しく過ごしている。
自宅では春から秋にかけて、ほぼ毎週BBQをしているという原田さん家族。夏は家の前にある川で川遊びもでき、夫婦でお酒を飲みながら満天の星を眺めることも楽しみのひとつ。
「最近は町のイベントも増えてきて、これから地域行事なども楽しみです。地域の人たちと交流しやすくなってきたので、もっとなじんでいけたら」と話す真希さん。自然に囲まれた環境で四季を体感しながら、憧れの田舎暮らしを満喫している。
隣に住む寺口さんとは顔なじみに。
積雪の多い冬には、寺口さんのご主人が雪下ろしを手伝ってくれたこともある。
5匹の保護猫を飼っている原田家。 敷地内には野良猫もやってきて、こまきちゃんになついている。
若桜町(わかさちょう)
鳥取県南東部に位置する人口約2800人の町。中国地方で2番目に高い氷ノ山(ひょうのせん)をはじめ、標高1000m以上の山々に囲まれ、スキー場もある。蒸気機関車や手動式転車台がある若桜駅からはレトロな観光列車が走り、四季折々の景色が楽しめる。
大阪から特急利用で約3時間10分。鳥取砂丘コナン空港から車で約1時間。
お問合せ:若桜町移住定住・交流センター ☎0858-71-0800
https://www.town.wakasa.tottori.jp/ijuteiju_akiya_joho_site/
宝島社発行「田舎暮らしの本」2024年3月号掲載