ホーム移住者インタビュー移住体験談~まったくの農業未経験での移住、スマート農業で地域の農業を次世代に~

移住者インタビュー

~まったくの農業未経験での移住、スマート農業で地域の農業を次世代に~

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妻の杏香さんと暮らす自宅。協力隊時代から住んでいる古民家を譲り受け、今後は牛舎を改修して住居にする予定。

 

スマート農業で地域の農業を次世代へ

名峰・大山(だいせん)のブナの森に磨かれた雪解け水が流れ、美しい水に恵まれている江府町。
奥大山の天然水と肥沃な黒ボク土、寒暖差のある環境で、米づくりも盛んに行われている。しかし少子高齢化によってその担い手は減少。農業生産の協業を図る農事組合法人「宮市(みやいち)」で、いま後継者として期待されているのが、2017年に京都市から移住した松本良史(よしふみ)さん(40歳)だ。

 

兵庫県尼崎市出身の松本さんは、都会暮らしの経験しかなかったが、ワーキングホリデーでカナダへ行ったことがきっかけとなり、田舎暮らしに興味を持った。関西から日帰りできる距離で目にとまったのが、一度も行ったことのない鳥取県だった。
「初めて江府町を訪れたときは、自然に恵まれた環境に、ここは秘境だとびっくりしました。観光協会スタッフとの出会いや、当時副町長だった白石祐治町長とSNSでの交流をすることで、移住を決意しました」

 

飲食業の経験から、食に携わっていきたいと農業を仕事に選んだ。最初の3年は地域おこし協力隊として、普及指導員やさまざまな農家から話を聞いて農業を勉強しつつ、農作業をすべてパソコンで管理できるアグリノートの導入など、ロボットやAI、IoT(※)などの先端技術を活用したスマート農業の技術で作業効率を上げる新たな取り組みも始めた。任期後は農事の組合員となり、移住後に出会った妻・(きょう)()さん(25歳)とともに13ヘクタールものほ場を管理している。
「もともと田植えをしたことがないどころか、田んぼを見ることもないような暮らしでした。前代表理事の理解があったので、できることはパソコンで管理できるようにしました。決められた時間でなく、好きなタイミングで仕事ができる働き方も自分に向いています」
2023年には農事組合の代表理事に就任。今後はセンサーでの水管理など、広域の農地を管理できるようにしたいと話す。
「コスパの合う技術を取り入れ、農業をやりたい人が移住してくれたらいいですね」

 

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ラジコン草刈り機「神刈(かみがり)」を使って畔の草刈り。
ゲームが趣味の松本さんにはお手の物。

 

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収穫を前に稲の発育状況を確認する松本良史さん。
「コシヒカリ」「きぬむすめ」や、県オリジナル品種の「星空舞(ほしぞらまい)」などの稲作のほか、大豆なども栽培している。

 

 

江府町(こうふちょう)

中国地方最高峰の大山の麓にあり、奥大山の美しい自然に囲まれた人口約2500人のまち。木谷沢渓流は、サントリーのCMに起用された。JR江尾駅構内2階にある「こうふのたより」事務所には、こうふのたよりスタッフが常駐。羽田空港から米子鬼太郎空港まで約1時間15分、米子鬼太郎空港から江府町まで車で約1時間。
お問合せ:こうふのたより(下記参照) ☎0859-72-3122
https://www.town-kofu.jp/iju/
https://www.koufunotayori.jp/


宝島社発行 「田舎暮らしの本」 2023年11月号掲載