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移住者インタビュー

自然好きな二人が鳥取で出会い、若桜の自然をゆったり味わってもらえる民泊を開業。

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お気に入りの縁側で過ごす張さん夫妻。民泊施設オープンに向けて準備をしながら、愛猫とともに暮らしている。
「縁側の家-utatane-」 Instagram:@mikuranoie

 

 

スキー教室スタッフから地域おこし協力隊に

 中国地方最高峰の大山(だいせん)に次ぐ、氷ノ山(ひょうのせん)を有する鳥取県若桜町。その山間に、家族で自然体験が楽しめる民泊施設が間もなくオープンする。
「山や川が近く、季節を感じられる景色と、日当たりのいい縁側が気に入って、この家を購入しました」
 そう話すのは、「utatane」代表の張朱音(はりあかね)さん(29歳)。2019年に広い庭付きの空き家を購入し、改修しながら夫妻で住んでいる。それまでは近くの町営住宅に暮らしていた。
 静岡市出身の朱音さんは、鳥取市の大学に進学。1年生のころから氷ノ山のスキー教室にスタッフとして参加し、子どもたちにスキーを教えていた。自然にも子どもにも触れ合える仕事がしたいという思いから、大学を卒業した16年春、若桜町の地域おこし協力隊に着任し、氷ノ山の観光振興を担当した。任期後も、町内外でスキーやキャンプなど自然体験のインストラクターとして活動しつつ、若桜町で人が集まれる場所をつくりたいと考えていた。

 

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縁側から続く和室には薪ストーブを入れた。木を切る仕事もしているので薪が手に入りやすく、家全体が暖まるという。

 

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DIYでの改修が進む築60年ほどの自宅。庭にはヒマラヤスギなどの木や巨石があり、焚き火も楽しめる。

 

 

自然体験を通し町の魅力を感じてほしい

 大学で出会った夫の紀章(のりあき)さん(29歳)と18年に結婚。紀章さんは帰郷していた徳島県から若桜町に移住。造園業の仕事を経て、現在は「utatane」のグリーンワークスを担当し、木の剪定など、近隣の高所伐採の仕事も請け負っている。
 「自然が好きで、大学のときから氷ノ山にも来ていたので、住むなら四季のはっきりしている若桜町がいいなと思っていました。民泊事業について最初はイメージできませんでしたが、家を買って、直して、知り合いが来るようになって、妻の『こういう場所にしていきたい』という考えが見えてきました」
 平日は剪定の仕事、休日は民泊に向けて家の改修と、お互いに担当する仕事を手伝いながら暮らしている。
 「いまのところは週末1組限定と考えています。それなら、お客さんに合わせていろいろな体験が提供でき、若桜町の自然をゆったり味わってもらえるかと。民泊がスタートしたら完成ではなくて、子どもたちが遊ぶ遊具やピザ窯をつくったり、耕作放棄地を畑に戻したり。地域の子どもも大人も遊びに来てもらえるように、模索しながら少しずつ変化していく宿にしたいです」と朱音さん。
 現在、オープンを目指して、若桜町の山で活動してきた仲間にも手伝ってもらいながら作業を進めている。
 四季を感じられる暮らしに憧れ、若桜町で登山やクライミングを楽しんでいる張さん夫妻。
 これから訪れる宿泊客にも、自然体験などを通して、町の魅力が伝わっていくことだろう。

 

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自宅近くには山も川もあり、自然のなかを散策できる。「季節の変化が身近に感じられるのが心地いい」と朱音さん。

 

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できるところは自分たちで、と玄関回りや客室を改修中。「地域の人との距離が近く、いつも気にかけてくれるのがうれしいです」と紀章さん。

 

 

若桜町のここが好き

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境内に渓流や巨石、苔むした石段がある若桜弁財天。

 

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若桜町(わかさちょう)

鳥取県東南部に位置し、人口は約2900人。標高1000m以上の山々に囲まれ、面積の95%以上を森林が占める。宿場町として栄えた若桜宿を中心に山間部に集落が点在し、助け合い文化が残っている。冬は雪が積もる。鳥取砂丘コナン空港から車で約1時間。

 

 

移住相談員から朱音さんへ!

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若桜に来た当時から笑顔の絶えない朱音さん。周りが応援したくなるような人柄で、あっという間に地域になじみました。イベントがあれば、すぐに応援に駆け付けてメンバー同様に手伝ってくださいます。紀章さんと結婚し、民泊施設をオープンすることになり、2人で目標に向かって前進されることを願っています。(移住相談員)

 

 

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若桜町移住定住相談員の中嶋忠篤さん。
お問い合わせ:若桜町移住定住・交流センター 電話番号:0858-71-0800

宝島社発行「田舎暮らしの本」2023年2月号掲載