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移住者インタビュー

このまちは心の拠りどころ。

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境港市民の憩いの場となっている弓ヶ浜は、さやかさんにとって最高のレッスン場。「この景色に心が洗われます」。

 

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大型クルーズ船も寄港する 境港(さかいこう)。「船員さんを見ると、旅をしている気分 になります」とさやかさん。

 

 

税関の仕事を辞して、人を笑顔にする〝うたうたい〞へ

 透き通ったブルーの海と、白砂青松の美しい弓形の砂浜の先には西日本の名峰・大山(だいせん)がそびえる。この美しい景色を日常的に望めるのが、弓ヶ浜半島の先端にある境港市だ。
 このまちを心の拠りどころにしているのが、2019年春に移住した歌手の奥田さやかさん(37歳)。じつは彼女が境港市に住むのは2度目。最初は08年、税関職員として出身の兵庫県を離れての1人暮らしだった。
 「あるとき、いろいろなことが重なり心身ともに疲れて、どこか笑えなくなっていました。そんなときでも海に向かって歌うと気が晴れました。当時は、出勤前に弓ヶ浜の公園で思いっきり歌ってから、仕事に向かっていました」
 転機は11年、音楽に救われていたさやかさんは、山陰で活躍する音楽ユニットのライブを見て「歌は人を元気に、そして笑顔にする」と感動。その春に税関を退職、シンガーソングライターの男性とユニットを組み、ボーカルと弾き語りの活動を開始した。その後は年100回を超えるライブや、アートを通じた地域づくりにも携わり、今は音響の仕事をする夫の隆(たかし)さん(45歳)とともに長男の詠(ながむ)さん(2歳)を育てながら創作活動にもいそしむ日々だ。



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自宅近くの「上道(あがりみち)神社」は出雲大社の分院。家族全員で夕食前の散歩がお気に入り。


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私設の子育て支援空間「子己庵(ここあん)」には、おもちゃと絵本が豊富に揃う。さやかさんの自宅のすぐ近く。

 

 

海の向こうに山、弓ヶ浜は天然のスタジオ

 ボーカリストのさやかさんは弓ヶ浜を「最高の場所」と絶賛、その理由をこう話す。
 「目の前に海、遠くに山という広々とした風景で、波の音と心地よい風に吹かれながら歌の練習ができます。人も少なくて3密にもなりません(笑)。大きな声を出しても、波と風にかき消されてほとんど人に聞こえない!思い通りにできる、天然のスタジオですね」
 〝うたうたい〞として10年目となるさやかさん。自宅近くにあるカフェを舞台にしてのライブ配信や新作CDの制作・販売、定員制のコンサートなど、さまざまな活動を行い、山陰地方にも活躍の場を広げている。家族はもちろん、自宅近くの「子己庵」に集う人やお気に入りのカフェの常連など、周囲の人たちからの声かけも彼女の活動の大きな支えとなっている。
 さらに、ちょっとした願望もある。「歌はまちの風土や魅力を表現できるもの。境港市の景色が思い浮かぶような歌をつくって歌えたら〝うたうたい〞の冥利に尽きますね」とほほ笑む。
 境港市はジャズフェスティバルや地元の演奏者が出演するサロンコンサートを定期的に開催するなど音楽も盛んなまち。新たな人生の出発点となった境港のあちこちで、弓ヶ浜が育んださやかさんの伸びやかで優しい歌声が聞こえる――。境港市の魅力がまた1つ増えそうだ。



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ユニットから、さやかさんのソロまで。CDは地元の書店のほか、さやかさんのサイト(https://morisaya.stores.jp)でも購入できる。


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近所の「Cafe マルマス」は、ライブスポットでもある。曲づくりや仕事の打ち合わせなど「応接室のように使わせていただいています(笑)」。

 


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写真家が主催する企画で、音楽ユニット「マイトリー」での活動として鳥取砂丘での音楽会を実施。(写真提供/水本俊也)

 

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子ども向けの音楽活動やイベントにも積極的にかかわる。舞台セットは、さやかさんが大好きな弓ヶ浜から大山を望む風景だ。

 

 

境港市のここが好き

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からだに優しい食品と日用品のセレクトショップ「豆ひとつぶ」。こちらも自宅のすぐ近くでとても便利。



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境港市の移住支援

空き家の改修費の助成や、移住者に対し、改修後の空き家の利活用を支援する奨励金といった住まい関連の支援のほか、創業の助成について移住者は上乗せ額があるなど、移住者に手厚い支援制度が用意されている。市内の夕日ヶ丘分譲地では約100坪の土地を月5000円で51年間借りられる定期借地権制度を導入し、県外者の利用も多い。若い世代の移住者にとってはうれしい制度だ。
 

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境港市地域振興課の渡部大樹さん(左)、都市整備課の石原未来さん
問境港市地域振興課 ☎0859-47-1024

宝島社発行「田舎暮らしの本」2021年12月号掲載