ホーム移住者インタビュー移住体験談目の前にある関金町の魅力をもっと発見していきたい。

移住者インタビュー

目の前にある関金町の魅力をもっと発見していきたい。

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九鬼さん(左から2人目)と両親、九鬼さんが信頼する「せきがね湯命館(ゆーめいかん)」館長の山﨑さん(左から3人目)。後方は国指定重要文化財「木造地蔵菩薩半跏像(もくぞうじぞうぼさつはんかぞう)」。

 

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ラジウム泉質の関金温泉。温泉街には地元住民が利用する共同浴場もあり、1日の疲れを癒すことができる。

 

 

帰郷し寺の40代目住職に。次世代につなぐ改革に着手

 倉吉市中心部から車で南に約20分。里山が広がり、名湯百選の温泉が湧く関金町(せきがねちょう)に着く。温泉街は車1台分の幅の坂道沿いに広がり、奥にたたずむようにあるのが国指定重要文化財の地蔵を有する「大瀧山地蔵院」だ。開創は奈良時代756年とされる。40代目住職の九鬼全弘(くきぜんこう)さん(36歳)は、中学卒業後に和歌山県の高野山高校・大学、高野山で役僧を務め27歳で帰郷した。

 7年間実家の地蔵院の僧侶を務め、2018年10月に父から住職を継承。まず取り組んだのは、家単位で特定の寺に所属し仏事一式を任せる「檀家制度」の廃止。さらに供養や法事などの布施や準備物もホームページに掲示し明確化を図った。「お寺は供養をされたい方のためにあります。少子高齢化の時代に誰でもお越しいただける寺としていくために取り組みました」。寺の存続にもかかわることだけに反対もあったが、ていねいな説明を重ねて理解を得たという。
 先代住職は、九鬼さんの身近な相談相手であり、推進役だ。「父親の『自分で責任を取れることはやっていい』という言葉が支えになりました。今も何かをやる前には相談をします」

 このほか地蔵絵書きや写経写仏などの体験企画、そして20年4月には寺院内の家屋を改装し民泊できる宿坊を稼働。1日1組の貸し切りで、コロナ禍でも滞在型スキー客や卒業旅行の大学生が利用するなど好評だ。移住希望者が滞在する「お試し住宅」の機能も果たしている。
 「関金は海、山、街まで車で20分ほど。関金の温泉街なら居酒屋、コンビニ、温泉がすべて徒歩5分です。宿坊滞在で便利さを実感して、ぜひ関金に住んでもらいたいですね」と笑顔で関金暮らしをおすすめしてくれた。

 

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お勤めに定休日はないが「朝7時から夕方5時までを基本に、日中は人と会ったり企画を考えたりと、自由に時間を使っています」。好きなことができる環境だ。

 

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宿坊の掃除や準備は九鬼さん自ら行う。利用客と話すときは「知らず知らずに関金のおすすめを紹介していますね」。

 

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宿坊は地蔵院のサイトなどで受付。2名までは1泊1万2000円、3 名以上は1名2000円追加。調理器具、食器、Wi-Fiを完備。

 

 

寺を観光や特産と結び関金の活気を創りたい

 九鬼さんは関金の地域資源を活かすNPO法人の理事を務め、倉吉市内のイベントにも積極的に協力し人脈を広げている。宿坊も含めて観光振興に熱心なのは、九鬼さんが大切にする〝連携〞ができるからだ。
「寺の文化を継承するには、信仰だけでなく、観光と結び付くことでいろんな人に寺の価値や存在を知っていただくことが必要なんです」

 今、九鬼さんが注目しているのは伝統の畜産。生産者直営の食事兼精肉販売店舗の計画に期待を寄せている。
「やってみたいという若い人を応援したい。関金に初の牛肉専門店ができれば宿泊の方におすすめできますし、もっと便利なまちになりますよ」と笑う。

 九鬼さんには宿坊に泊まった移住希望者の忘れられない言葉があるという。
「朝、温泉街を散歩された方に『すごく気持ちがいい場所』と言われました。私たちの目の前にあるものがじつは魅力なのだと気づかされました。関金にはまだまだ魅力がある。創造力をかきたてるまちなので、いろいろな方ともっと発見をしていきたいですね」

 

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九鬼さんが応援する「石賀畜産」。代表の石賀千章さんは「九鬼さんは何でも相談できる兄のような存在」と慕う。

 

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「特産のわさびをいろんな人に食べてもらいたい」と居酒屋と連携してわさび巻き寿司を試作中。イベントでも出したいという。

 

 

倉吉市のここが好き

「白金の湯 せきがね湯命館」

風呂の種類が豊富で食事もおいしい。館長・山﨑さんが地域活性化に熱心で、関金の拠点として欠かせない場所です。
ラジウム温泉の日帰り温泉施設。岩風呂、木風呂、露天風呂にサウナも完備、名物の川魚料理やリラクゼーションも楽しめる。

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倉吉市の移住支援

住宅購入費や改修費、家賃の補助など住まいに関する支援や、起業者へ向けた創業支援制度を用意。オンラインで地元住民のおすすめスポット、地元のキーパーソンや空き家の紹介なども積極的に行う。また、地元住民と移住者の交流を応援する「受け入れ支援事業」も実施し、移住後の地域のつながりをつくる活動をサポート。要件を満たす一都三県からの移住者には移住就業支援金の交付もある。

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お問い合わせ:しごと定住促進課  ☎0858-27-0501

 

宝島社発行「田舎暮らしの本2021年7月号」掲載