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移住者インタビュー

鳥取に足を運び、食材の宝庫だと直感。倉吉市に決めました。

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古民家の優しいたたずまいを残した店舗「カフェ&パティスリー ジョンヌ」。じつは移住に積極的だったのは妻の麻依子さんだという。倉吉市新町1-2458 ☎0858-22-5233

 

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地元の食材にこだわったケーキ。イチジクのケーキ(写真右)は慎一さんが素材にほれ込んだ逸品だ。

 

 

倉吉に来て手に入れた理想の環境と食材

 東京都出身で、実家近くの練馬区で安心安全な食材にこだわった洋菓子店を開いていた天川慎一(あまかわしんいち)さんが、家族5人での移住を真剣に考えるようになったのは東日本大震災のあと。「鳥取県か岡山県のどちらかで考えていて現地に足を運びました。鳥取県倉吉市の相談員の方に市内を車で案内していただくと、海、山、里がどれも近くにあることに驚きました。ここは食材の宝庫だと直感して倉吉市に決めました。ひと目ぼれです」
 店舗兼住まいは、市内中心部の重要伝統的建造物群保存地区にある古民家。市の献身的なサポートと、直筆の手紙で家主に思いを伝えたことで家の賃借とリフォームにこぎつけた。2017年3月に移住、その4カ月後には洋菓子店をオープンした。
 今では夕方前に商品が完売することもしばしば。観光エリアにあり市外からの客も多いが、なにより町のケーキ屋さんとして地元の人たちに愛されている。
 慎一さんのケーキに欠かせないのは、地元の生産者がていねいに育てた食材。生産者と慎一さんをつなげてくれたのは、近所の自然食品店だ。「無農薬栽培の古代小麦、甘味に優れたイチゴやスイカ、平飼いの卵など、素材の味がしっかりした食材を紹介いただきました。とてもありがたいですね」 
 食材同様に、地元の人びともかけがえのない存在だ。

 

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創作心を高める旬の地元素材。「東京では全国各地から取り寄せないといけないものが、倉吉市なら近くで手に入るんですよ」と慎一さん。

 

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洋菓子の要となる卵は、平飼いで育てている隣町の「渡辺のびのび農園」から。慎一さんは「卵白の質がすごくいい」と絶賛。最上のメレンゲができるという。

 

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三朝東郷湖県立自然公園内にある名水「宇野地蔵ダキ」。「週1回、約100Lを汲みに来ます」と麻依子さん。

 

 

週休3日を英断して実現。半農半ケーキ屋を目指す

 倉吉暮らしを始めた天川さん夫妻は、ライフスタイルも一新。店舗は日・月・火曜日定休の週休3日にしたのだ。
 「東京では日曜が仕事だったので、子どもと遊ぶことができませんでした。倉吉市は海も川も山も近くにあり、僕の趣味である釣りや、子どもたちが大好きなキャンプも気軽にできます。この自然を家族で満喫するには日曜を休むしかないと決めました」
 月曜日は農業の日だ。店にスイカを提供してくれている田村大輔さんの畑のお手伝いをするほか、天川さん夫妻も近くに畑を借りて野菜類を育て、自給している。そこにあるのは慎一さんの理想の暮らし、農業と生業を組み合わせた「半農半X」という生き方だ。
 「ケーキづくりは仕事なのでなかなか冒険はできませんが、自給目的の農業は自由に好きなことができます。東京生まれですけど、じつは農家は小さいころからの夢でした」と笑顔を見せる慎一さん。来年から無農薬の稲作にも挑戦するという。
 大阪府出身の麻依子さんも「お魚、野菜、水もおいしい。倉吉は豊かなところですね」と倉吉市の暮らしを満喫している。「母や弟は移住に反対でした。どう納得してもらうかを考えた結果、私たち自身が幸せになるということでした」と慎一さん。
 移住してから3年、理想の暮らしを1つずつ実践してきた天川さん家族。いま倉吉のシンボル「打吹山」の名を冠した発酵菓子を思案中だという。慎一さんがつくる菓子が倉吉銘菓となる日も近いはずだ。

 

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月曜日は農家になる天川さん夫妻。この日は田村さんの畑で黒大豆のエダマメを収穫。田村さんは横浜から祖父がいた倉吉市で新規就農した。

 

●倉吉市のうっとりPoint●
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白壁土蔵群や甍(赤瓦)の町並みを流れる打吹玉川にはコイが泳ぐ。市の中心部にある打吹山(うつぶきやま)は倉吉市のシンボル。

 

●倉吉市TOPICS●
「BREW LAB KURAYOSHI(ブリュー ラボ クラヨシ)」

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今年8月にオープンした醸造所併設のビアバー。倉吉発の地ビールはもちろん、フレンチシェフ監修の料理などが楽しめる。「とっとり暮らしアドバイザー」である福井恒美さんのこだわりがたっぷり。

「星空保全地域」関金町


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倉吉駅から約10km南西に位置する同市関金町は、2019年に鳥取県の「星空保全地域」に指定。晴天の夜には日常的に天の川や流れ星を見ることができる。

 

●倉吉市の移住支援情報●
住宅購入費や改修費、家賃の補助など住まいに関する支援や、起業者へ向けた創業支援制度を用意。現地に来た人を相談員が案内してくれる「移住体験ガイドツアー」や、集落の住民と移住者の交流を応援する「受け入れ支援事業」も実施し、移住の前後をサポートする。また、県立厚生病院などの医療施設、小・中・高校などの教育施設も充実している。
「幅広い世代の方が暮らしやすい倉吉。その秘密を、ご案内します! 一度遊びに来てみてください。」

問い合わせ:しごと定住促進課  ☎0858-27-0501

宝島社発行「田舎暮らしの本2021年1月号」掲載