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移住者インタビュー

鳥取の里で、「自然保育」と「見守り保育」子どもも大人もみんな幸せ!

夫の故郷へIターン 生活費はコストダウン

 「鳥取に来たら、暇を持てあますんじゃないかと心配していましたが、かえって忙しいくらい。毎日が充実しています」
 明るく話すのは、「鳥取・森のようちえん・風ふうりんりん」代表のあっちゃんこと、徳本敦子さんだ。
 神奈川県小田原市に生まれ、幼いころは郊外の田畑や小川で遊んで育った。大学卒業後、東京で音楽活動をしているときに夫の修一さん(42歳)と出会って結婚。長女、長男と続いて恵まれ、都内で数年間子育てをした。
 修一さんが「鳥取に帰ろうと思う」と切り出したのは、次女を身ごもったころ。「子どもに安全なものを食べさせたい」と訴えたという。
 「驚きました。でも、このまま都会暮らしでいいのかという思いもありました」と振り返る。
 2009年に鳥取市へ移住。田畑と山に囲まれたのどかな集落で新たな生活が始まった。
 「こちらに来てから外食が少なくなりました。食べ物が新鮮でおいしい。東京ではお出かけと外食でかなりお金をつかいましたが、鳥取では自然公園や里山へお弁当を持って遊びに行きます。水道水もおいしくて、ペットボトルの水や浄水器は必要ありません。食費がかなり抑えられますね」と、変化を話す。
逆にお金がかかるのは、車の費用だ。鳥取は車が不可欠といっても過言ではない。「そのほかの生活費は、さほどかかりません。家賃も月3万円台からあります。東京と所得の差はありますが、人間らしい生活ができると感じました」。

 

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フィールドとして使っている里山で。なかでもここは、山並みがきれいに見えて、お気に入りの場所。

 

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修一さんの実家に隣接した自宅は、鳥取駅から車で15分ほど。自宅が兼園舎となっている。

 

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右から、徳本敦子さん、次女のひめちゃん(9歳)、長女の(りん)ちゃん(12歳)、長男の風之(かぜの)(すけ)くん(10歳)、夫の修一さん。

 

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「砂の美術館」は、世界初の砂を素材にした彫刻「砂像」を展示する美術館。今期のテーマは南アジア(4月13日~)。

 

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仁風閣(じんぷうかく)」は、国指定重要文化財の洋館。明治4 0年、鳥取池田家14代当主・池田仲博が時の皇太子の宿泊施設として建築した。

 

 

鳥取の自然を活かした森の子育てを広げる

 子育ても変わった。きっかけは智頭町(ちづちょう)にある「森のようちえん まるたんぼう」との出会いだ。
園舎がなく毎日山へ通うなんて無理だと最初はためらったが、予想に反して子どもたちは野山でたくましい姿を見せた。
 自然のなかで思いのままに遊ぶ「森のようちえん」で、園児は自主性や仲間への思いやりを身につける。よほどの危険がないかぎり口を出さないという園の方針に賛同する保護者も、あれこれ世話を焼かず「見守る」ことを学ぶ。「子育てが楽になった」と話す保護者は少なくない。
 すっかり魅了された敦子さんは、鳥取市に自分で開園しようと思い立つ。行政や友人に相談し、保育士を募り、2014年「鳥取・森のようちえん・風りんりん」を設立(2017年からは、活動を広く知ってもらうためにNPO法人へ)。園舎となるフィールドは、里山や果樹園の所有者の協力を得て確保した。
 今年5年目を迎える「風りんりん」は園児も増え、なかには、ここへ通わせるために都会から移住した親子もいる。
 「幼いころは自然のなかで、親子で思いきり遊ぶのが何よりの英才教育なんです」と笑顔を見せるあっちゃん。鳥取県の移住アドバイザーにも就任し、森の子育ての魅力を伝えながら、移住希望者へのサポートも行う。
 鳥取市の豊かな自然が子どもたちの生きる力と知恵を育む。あっちゃんの願った子どもたちの姿がここにある。

 

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「風りんりん」のフィールドは市内14カ所。「柳茶屋キャンプ場」は、かまどや炊事場があり、週に1回のクッキングのときはここで調理を行う。

 

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野菜を切るのも、子どもたち。「風りんりん」では、包丁は年少さんから使うようにしている。この日は、子どもたちがお味噌汁をつくり、ご飯を炊いた。

 

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火の当番をする子どもたち。火吹き竹の使い方やタイミングなど、年少さんは大きな子たちの姿を見て学んでいく。火の危険性もクッキングのなかで覚えていく。

 

【動画】森のようちえん 風りんりん ※Facebook Watch


●information● 鳥取県鳥取市
鳥取県東部に位置する県庁所在地。日本海側に鳥取砂丘があり、駅前には温泉が湧くなど、街や自然が楽しめる。「鳥取市移住・交流情報ガーデン」を設け、きめ細かなサポートを行う。
<問合せ先>鳥取市定住促進・Uターン相談支援窓口 TEL 0120-567-464

宝島社発行「田舎暮らしの本2019年3月号」掲載