
鳥取市(東部)
同世代の仲間-「一度鳥取を離れたからこそ、鳥取への想いがポジティブに変わった」
大江ノ郷自然牧場 垣谷勇気さん
インタビュアー:平野優人
鳥取県にしかない美しい”日常”のもとで暮らす。
地元密着のお仕事と大自然を満喫する休日。
<垣谷勇気さんのプロフィール>

30代(※取材当時)鳥取県出身
東京都から鳥取県へUターン、大江ノ郷自然牧場に就職。
お客様サービス室で受電などの業務を担当。
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Q. 移住された理由、きっかけを教えてください。
A.今だったら、あまり悔いなく戻れると感じたためです。

何事にもポジティブな垣谷さん。人生の先輩としても、学びになることが多かったインタビューでした
昨年の夏、鳥取県へ戻ることを決めました。夏季休暇で帰省した際、両親が介護で苦労している姿を見て、これは自分にもいずれ訪れる未来だと感じました。また、ここ数年体調を崩しやすくなっていたのですが、帰省中に心身が回復し、地元での生活も良いかもしれないと思いました。東京の生活に不満はありませんでしたが、「このままずっと東京にいるのかな」という思いが芽生えました。長男として「いつかは帰るだろう」と感じていた気持ちが次第に明確になり、「今なら悔いなく帰れる」と思い、鳥取県へのUターンを決めました。
Q.お勤め先への入社理由や、普段のお仕事内容について教えてください。
A.2つの自分軸をもとに入社を決めました。現在の仕事内容は、お客様サービス室の受電の業務が中心です。

大江ノ郷リゾートは県民・県外問わず、老若男女が訪れる人気スポット
鳥取県へのUターンを決め、就職先を探す際に意識した軸は2つありました。1つ目は、企業理念やビジョンを大切にし、お客様に伝えたい価値を実践している会社であること。2つ目は、鳥取県を盛り上げようとしている企業・団体であることです。地元でアウトドアサウナをやってみたいと考えた際、大江ノ郷リゾートがその取組を行っていることを知り、「ここなら自分のやりたいことができる」と感じて応募しました。現在はお客様サービス室に所属し、通販事業での受注対応や問い合わせ対応を担当しています。最近は団体客誘致のプロジェクトにも携わり、県内外からの来訪促進に取り組んでいます。
Q.外から見た鳥取県と、実際に住んでみて感じた印象の違いはありますか。
A.とにかくのどかで、自然が豊かです。

人生のライフステージにあわせて、柔軟に行動される垣谷さん
高校生の頃は、鳥取県には何もないと感じており、「もう帰ってこない」と思って県外の大学へ進学しました。正直、都市部と比べると服屋や映画館の規模が小さく、美術館も少ないなど、物足りなさを感じることもあります。しかし今は、鳥取県ののどかさや自然の豊かさに魅力を感じています。職場に来る途中の山の景色や、雨が降った後に出てくる山中の霧を見ると嬉しい気持ちになります。星のきれいさや澄んだ空気も魅力のひとつです。かつてはマイナスに思っていたことが、いまではプラスに変わり、それを大事にしようと思えるようになれた気がします。
Q.今後のキャリアや、これから鳥取県で挑戦したいことを教えてください。
A.引き続き、大江ノ郷自然牧場に勤めたいです。

大江ノ郷自然牧場で販売されている商品はどれも逸品です!
大江ノ郷自然牧場を、より多くの人に知っていただき、訪れてもらえる施設にしていきたいと考えています。営業的な立場から、今後は海外にも目を向け、インバウンド観光客の誘致にも取り組みたいと思っています。現在、鳥取砂丘コナン空港には国際便がありませんが、将来的な観光需要を見据えたいです。この場所で自分自身をアップデートし、会社を支える一本の柱、ひとつのボルトのような存在になれればと思っています。大江ノ郷自然牧場には「鳥取県の人口と同じ数のお客様に訪れていただく」というコンセプトがあり、そういった、会社のポテンシャルを伸ばしていきたいと思います。
Q.普段の生活や趣味、活動について教えてください。
A.生活は規則正しくなり、趣味も多彩になりました。

鳥取県の豊かな自然に改めて気づきを得られた垣谷さん
ここで働き始めてから、規則正しい生活を送れるようになりました。毎朝6時に自然と目が覚め、7時に朝食、8時に出勤、遅くとも19時には帰宅して夕食をとる生活です。実家の食事のおかげで健康的になり、帰宅後は毎日30分の散歩を続けています。鳥取県に戻ってからは、自然に関わる趣味も増えました。岩美町のSUPや、友人にもらった望遠鏡で天体観測を楽しんでいます。「星取県」のスポットを全部巡るのが目標です。また、自宅でコーヒーを淹れたり、梅干しづくりや写真撮影も行っています。今後は畑で花を育てることにも挑戦したいです。子どもの頃にもしかしたら見ていたかもしれない…そんな景色や体験等を再発見している感覚です。
Q.地元の方々との関わりや、鳥取県内の制度・サポートについてのエピソードがあれば教えてください。
A.ゆるいつながりが新鮮です。鳥取県の、就職に関連した制度・サポートはかなり充実しています。
今年の3月末に鳥取県へ戻ってきたばかりで、まだ地元の方々との交流は多くありませんが、かつての同級生と偶然再会することがありました。20年ぶりでも覚えていてくれることが嬉しく、そこから発展しなくても心地よいつながりを感じます。また、すれ違う人から「こんにちは」「こんばんは」と声をかけられることも多く、東京ではあまりないので不思議だと感じますね。就職支援については、東京都新橋のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」内にある「移住・しごと相談コーナー」を利用しました。移住や仕事に関する相談員の紹介やUターンサポートを知ることができ、鳥取県のUターン支援制度の充実さを実感しました。
Q.交通や買い物など、生活の利便性はいかがですか。
A.特に不便さは感じていないです。
通勤は自家用車を利用しており、鳥取市内から職場までは約20分で快適に通えています。通勤ラッシュのストレスもなく、東京で電車通勤をしていた頃と比べて違いを感じます。幼少期は大阪や神戸へ行くのは一大イベントでしたが、今では鳥取道を使えば2時間ほどで行けるようになり、鳥取県内も道路が以前より整備され、県内外の移動も便利になりました。交通面で不便を感じることはほとんどありません。買い物はインターネットでもできますし、実際にお店で買い物をする際は鳥取市にある丸由百貨店を利用しています。新しいお店ができて、以前よりも欲しいものは手に入るようになっていると思います。
Q.仕事とプライベートはどのようなバランスですか。
A.仕事とプライベートの切り替えを心がけています。
仕事に取り組むときは、一生懸命向き合っています。業務には忙しい時期と落ち着く時期の波がありますが、集中すべきときはしっかり集中するようにしています。仕事が終わって車に乗った瞬間に気持ちを切り替えることを意識しており、多少の失敗があっても引きずることはあまりありません。鳥取県に戻ってからは、家族に相談できる環境があることも大きいです。どんな出来事に対しても、できるだけ前向きに捉え、ネガティブな感情もポジティブに変えていけるよう心がけています。
Q.鳥取県の好きな行事やイベント、来て驚いたことや予想外だったことはありますか。
A.行事やイベントもですが、”日常”に感動しています。
印象に残っている行事は、昨年家族と行った鳥取市の花火大会です。新潟県の「長岡花火」や秋田県の「全国花火競技大会(大曲の花火)」のような大規模な花火大会と比べて感動できるか不安でしたが、実際に行ってみると人が混雑しておらず、近い距離で花火を見ることができてとても良かったです。また、何気ない風景もいいところだと思います。日本海に浮かぶイカ釣り船等の漁火(夜間に漁船で魚をおびき寄せるために焚く火や灯りが丘から見えるもの)や帰り道に見える夕日、夜空を見上げて、北斗七星や夏の大三角などがすぐにわかることが嬉しいです。鳥取県で好きなことは、こうした日々の積み重ねですね。
Q.都市部にはない、鳥取県ならではの魅力を教えてください。
A.鳥取県ほど、美しい生活の営みがある場所はないと思います。

垣谷さんのポジティブなエピソードに尊敬の念を抱きました!
やはり自然の豊かさが鳥取県の魅力だと感じています。空気や水がきれいで、こんなにも美しい生活の営みがある場所は他にないのではないかと思っています。高校時代、Uターンした美容師さんに「(鳥取県は)何もないのに楽しいですか」と尋ねた際、「海も山も近いって凄いことだと思うけれど、鳥取県を出ないとわからないと思うから、1回鳥取県を出ておいで。」と言われました。今ではその言葉の意味がわかります。風景が変わらずに残っていることは素晴らしいことだと思いますし、“ゆるいコミュニティ”が続くことにも面白さを感じています。県外から訪れた友人に「鳥取県って結構いいところじゃん」と言われると嬉しく、観光に携わる者として、この魅力を大切に伝えていきたいです。
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★取材した感想★

垣谷さんのインタビューを通じて、Uターンだからこそ味わえる鳥取県の良さをひしひしと感じた鳥取県出身の平野さん
垣谷勇気さんは、現在お勤めの大江ノ郷自然牧場はもちろん、地元・鳥取県にも大きな愛着を持っておられることがよく伝わってきました。取材中で最も印象的だったのは、自分の“やってみたい”を、ポジティブに追求していくという垣谷さんの前向きな姿勢です。インタビュアーである私も元気をもらえる、そのような感覚をおぼえました。また垣谷さんは、地元・鳥取県という場所そのもの、家族や友達と共有する時間を大切にされていることが大いに伝わってきました。鳥取県という場所はもちろん、その地が育む人同士の繋がりも温かいものになると、私は考えました。鳥取県出身である私自身、鳥取県で営む生活の素晴らしさを改めて実感することができました。この記事を通して、豊かな自然のある鳥取県の日常に転がっている幸せなコトやモノの見つけ方、そのヒントを多くの皆さんにお伝えできれば嬉しいです。垣谷さんのお話の中に、そのすべてが詰まっているでしょう。
もし、私が社会人になったら…「こんなふうに鳥取県で暮らしてみるのもアリかも」
この度取材させていただいた垣谷勇気さんは、東京都から鳥取県にUターン就職された方です。インタビュアーである私自身、進学を機に上京しており、Uターン就職も視野に入れています。私個人にとっても、この度のインタビューは、今後のキャリアプランについて思考を巡らす良い機会になり、勉強になるお話を十分に聴くことができました。取材を通して、鳥取県でしか営むことのできない“日常”の尊さを再確認することができました。私が社会人になったら、現在の垣谷さんのように、休日は鳥取県ならではの趣味を嗜みつつ過ごしたいです。岩美町の美しい海でSUPをし、家で畑を作り、夜には天体観測をする…という、まさにドラマの世界のような、ロマンチックな情景が想像できます。そして、鳥取県のような田舎ならではの密なコミュニティの繋がりを大切にして暮らしたいです。さらに、地域に深く関わることのできる仕事に就けたら、もっと楽しいでしょう。心安らぐ自然との共生と温かい心をもつ人たちとの交流を実現できる、そのような暮らしは鳥取県にこそ在るのだと思います。
※2025/9/2(火)に取材



