
鳥取市(東部)
同世代の仲間-「人口最少県だからこそ、熱いOMOI(想い)で躍進を続ける」
株式会社OMOI 代表取締役社長 川村諒志さん
インタビュアー:志摩あおい
自然に抱かれながら、自分たちの手で“村”をつくっていく。そんな未来を思い描く川村さん。鳥取県での起業を通して、地域とともに新しい暮らしの形を築いています。自然の中でも挑戦できる環境がここにあり、働くことと生きることが重なる場所が鳥取県なのかもしれません。
<川村諒志さんのプロフィール>

30代(※取材当時)愛知県出身
大阪で地域連携のコンサルタントの経験を経て「自分でも事業をやりたい」と決意し、株式会社OMOIを起業。
*株式会社OMOI:地域の良さを活かしたブランドを1年に1つ創出すること、そして、そのブランドの価値・体験の向上を常に目指す。鳥取愛を育てるプリン専門店「Totto PURIN」や、鳥取県産牛乳を使用したヨーグルト専門店「三朝ヨーグルト」などを運営。*
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Q. 移住された理由、きっかけを教えてください。
A.鳥取県が人口最少の県という点に惹かれ、「地方を良くしたい」という気持ちで移住しました。

起業の経験も踏まえた目線も交えながらお話される川村さん
自然の中で暮らしながら仕事をしたいと思ったことが、大きな移住のきっかけでした。私は愛知県名古屋市の出身で、大学時代を大阪府で過ごしました。幼少期から自然に親しみ、地方での暮らしに関心を持ち、卒業後は地域連携のコンサルティングを経験しました。しかし自分自身で事業を起こしたい思いが強まり、拠点を探す中で「人口最少」の鳥取県に惹かれました。実際に来てみると都会的な利便性もありつつ自然に囲まれた理想的な環境で驚きました。
Q.普段のお仕事内容について教えてください。
A.鳥取県の食の良さを伝えるための事業展開やコンサルティング業務などを手がけています。

現在の業務紹介の様子
現在は三朝町・鳥取市・米子市の三拠点で、店舗を経営しています。コンサル時代に培った食品物販の経験を生かし、特に菓子や地域の名産品を活用した店舗運営を行っています。鳥取砂丘に構えるプリン専門店「Totto PURIN」やかき氷専門店「さんかく氷」、生チョコレート専門店「△Chocolat」、皆生温泉の近くの綺麗な海水から作る塩を使ったどら焼き専門店「湯ノ塩」など、観光地と地元の食文化を結びつけ、地域の魅力を広めることが日々の仕事です。コンサルタントとしての業務も続けており、クライアントワークや地域の活動も続けています。店舗スタッフと仕事終わりに自然を楽しむ時間も大切にしています。
Q.外から見た鳥取県と、実際に住んでみて感じた印象の違いはありますか。
A.イメージよりも暮らしやすいです。
当初は「人口最少」ということから田舎の印象が強かったですが、実際に暮らすと鳥取駅前やそこからの徒歩圏内は都会的で利便性が高く、自然に囲まれながら快適に過ごせることに驚きました。渋滞もなく、ゆったりとした環境は名古屋や大阪での生活とは大きく異なります。車で10分走れば自然に触れられる点も魅力ですね。
Q.今後のキャリアや、これから鳥取県で挑戦したいことを教えてください。
A.30代は現在の事業の拡大に力を入れ、40代は自然豊かな場所に、夢である「村」をつくりたいです。

将来の村づくりの構想を語る川村さん
店舗事業は鳥取県や島根県、岡山県北部の展開を視野に入れています。あえて都市部に進出せず、鳥取県周辺地域でしか味わえない価値を提供したいと考えています。また、自然豊かな場所で「村」を作るプロジェクトに挑戦したいです。川の近くで工場や宿泊地、食事の場を整備し、持続可能な村として観光や地元の暮らしを融合させる構想です。既存の自然や住民の暮らし、観光の出来上がった町を変えるのではなく、ゼロから観光を目的とした村を作ってみたいと考えています。40代は村の発展に注力し、最終的には社長の座を譲る形で次世代にバトンを渡す予定です。自然と共生しながら、地域に価値を生む暮らしを実現することが目標です。
Q.普段の生活や趣味、活動について教えてください。
A.忙しくても、休日は自然を満喫するようにしています。

ドライブの楽しさを語る川村さん
休日はドライブをして、自然の中で過ごすことが多いです。三朝温泉や鳥取砂丘などお気に入りの場所でリフレッシュしています。車で鳥取県外へ出向いて新しいお店を見て回ることも楽しみで、自然と都市のバランスを意識したライフスタイルを大切にしています。業務はまだまだ忙しいですが、仕事と同様に、自分の体と心を整える時間を意識的に確保しています。また、先ほど挙げた目標を達成するため、現在は都会的な町を選び住んでいますが、徐々に田舎よりの地域へ少しずつ移行しています。あくまで私の考えですが、都市部から移住する場合は、相対的に見て似た属性や相性の良い人とのつながりを築きやすい都会的な場所から段階的に田舎へ移っていくような形で環境を変えることをおすすめします。
Q.地元の方々との関わりや、鳥取県内の制度・サポートについてのエピソードがあれば教えてください。
A.温かい人々が集まり、挑戦を後押ししてくれる鳥取県は、第二のふるさとです。

移住当時を振り返り、語る川村さん
移住当初は不安もありましたが、隣のお店の方が送り迎えをしてくださったり、ご飯に連れて行ってくださったりと、まるでお父さんのように温かく迎えていただきました。初めて店舗を開く際も、地元の方に「来てくれてありがとう」と声をかけられ、排除ではなく共存を大切にする雰囲気に安心しました。都会では感じにくい人の近さや助け合いが鳥取県には息づいていると思います。また、支援制度を調べずに移住しましたが、起業時には補助金や助成金、起業家がつながる場などが整っており、鳥取県の挑戦を後押ししてくれる環境のありがたさを実感しました。
Q.交通や買い物など、生活の利便性はいかがですか。
A.道路状況も落ち着いていて、車移動もスムーズで快適です。

鳥取暮らしを語る川村さん
鳥取県は車があれば生活は非常に便利で、渋滞もほとんどなくスムーズに移動できるのがありがたく、快適に過ごしています。中心部は、徒歩圏内で駅や商業施設にアクセスできるため、自然の中で暮らしたい人にも不便を感じさせない環境だと思います。都市部のような「セカセカ感」がないのも魅力だと感じています。
Q.仕事とプライベートはどのようなバランスですか。
A.忙しい日々でも、意識して自然を感じ取りリラックスするようにしています。
現在は事業や自身の仕事が多く、忙しい日々を送っていますが、自然を楽しむ時間を意識的に取るようにしています。すぐに、近くで自然に触れられる鳥取県の環境はとても良いと感じています。昔からの仕事のリズムもあるため、完全にバランスが取れているわけではありませんが、休みは意識的に自然を感じることで、幸福度を高め、暮らしと仕事を両立させています。スタッフと仕事終わりに出かけて、夜の砂丘へ星を見に行きリフレッシュするなど、鳥取県ならではの過ごし方ができていると思います。
Q.鳥取県の好きな行事やイベント、来て驚いたことや予想外だったことはありますか。
A.鳥取県でたくさんの自然に触れてきましたが、サソリ事件は格別でした(笑)

夜の砂丘でサソリに刺されたエピソードで盛り上がる場面もありました
鳥取砂丘のイベントや観光に関わる中で、自然と一体になった商品や体験をつくれることが面白いと感じています。夜の砂丘に友人たちと行った際に、友人たちがサソリに刺される事件も起こりましたがそれも楽しい思い出です(笑)。予想外の経験も含めて、日常が刺激的に感じます。
Q.鳥取県だからこそ生きる事業の魅力はありますか。
A.鳥取県の受容力を生かした事業を展開できることです。
食を通じた地域活性事業は、鳥取県だからこそ生きると感じています。製造や物販を丁寧に取り組む姿勢とも相性がよく、地域の食や自然を生かした事業が成り立ちやすい環境だと感じています。また、鳥取県の人々は地域愛が強く、外から来た人を応援してくれる雰囲気があるように思います。人口が少なく、地域に愛着を持つ人が多いからこそ、新しい挑戦や店舗展開に応援の声が集まります。地元の人々が積極的に関わり、共存している環境に事業の成長を後押しされていると感じています。
Q.都市部にはない、鳥取県ならではの魅力を教えてください。
A.全員の共通言語として「鳥取県」を語ることができる点だと思います。

起業された方の目線が刺激的で新たな世界が広がりました
「地域が好きだ」という共通の感覚があり、世代を超えて「鳥取県を良くしていこう」という会話が自然に生まれるところだと思います。愛知県について名古屋について語ろうとしても実際はなかなか語ることができません。愛知県民や愛知県出身の人に会っても共通の話題として話せるテーマはあまりないのですが、鳥取県に来てから様々な人と交流する中で、関わる人々が鳥取県をテーマに楽しく交流する姿が鳥取県の魅力だと感じています。ニッチすぎず、共通言語として地域愛を持てるのが、鳥取県ならではの魅力ではないでしょうか。
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★取材した感想★

鳥取県出身の現役大学生の志摩さん。Iターン×起業視点で語られる数々のエピソードや考えにワクワクが止まりません!
取材をして感じたのは、鳥取県は自然の豊かさと地域の温かさが絶妙に重なった環境だということです。特に地域の方々の温かいサポートや応援の姿勢により、安心して挑戦できる土壌が整っていることが印象的でした。仕事と暮らしを両立させながら、日常の中で自然を身近に感じる時間を大切にしている川村さんの姿はとても生き生きとしており、大きな魅力を感じました。さらに、鳥取県ならではの地域愛や真面目さ、落ち着きのある人々の存在が、都市部にはない居心地の良さや安心感を生み出していることも強く心に残りました。
今回の取材を通して、鳥取県での暮らしは単なる田舎暮らしではなく、自然と人、地域と事業が調和する、可能性に満ちた環境であると実感しました。社会人になった際に、自分自身の暮らしや仕事をどう形づくるか、想像力を膨らませられる刺激的な機会となりました。鳥取県という土地が持つ、ゆったりとした時間の流れと人々の温かさ、そして挑戦を応援してくれる風土を肌で感じられる取材でした。
もし、私が社会人になったら…「こんなふうに鳥取県で暮らしてみるのもアリかも」
自然の中で仕事をしながら、自分のペースで暮らす川村さんの姿を見て、都会での忙しさとは違う“豊かさ”を感じました。鳥取県では、地域の人たちが温かく迎えてくれるだけではなく、挑戦する人を応援してくれる空気があるのだと思います。また、川村さんの「いつか村をつくりたい」という言葉も印象的で、自然と人が支え合う暮らしが本当に実現できそうだと感じました。毎日を自分のペースで過ごし、人と深く関わりながら、納得できる仕事を続けていく。そんな暮らしをしてみたいと思いました。川村さんのように、働くことと生きることを同じ線で描き、自分が納得できる暮らしを実現できるのが、鳥取県なのかもしれません。
※2025/8/29(金)に取材


