
鳥取市(東部)
同世代の仲間-「県外・海外の様々な世界で得た経験を鳥取県に還元しようと奮闘する若者」
全日本空輸株式会社(ANA)兼 とっとりへ ウェルカニ コーディネーター杉浦彩夏さん
インタビュアー:定久絵美
鳥取県は穏やかで温かい人が多いところが魅力です。効率やスピードが重視される都会に比べ、「ゆっくりでいい」「人と比べなくていい」鳥取県には、人を大切にする穏やかな気風が根付いており、それが都市部にはない魅力だと思います。
<杉浦彩夏さんのプロフィール>

20代(※取材当時)愛知県出身
ANAの地域兼業プログラムで鳥取県に移住して4か月のCA。
国際線・国内線のフライト業務にあたりつつ、鳥取県庁でもとっとりへウェルカニコーディネーターとして、「とっとりdiary」の運営など、重要な役割を担っている。
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Q. 移住された理由、きっかけを教えてください。
A.就業先のANAが実施している地域兼業プログラムを通じて鳥取県に移住しました。

移住CAになった経緯を語る杉浦さん
大学で学んだことを活かし、自然が豊かで人が温かい地域に貢献したかったため、全国の地域兼業先の候補地を検討しました。その中でも鳥取県は活動の自由度が高く、自分の強みを発揮できる環境だと感じました。現在、鳥取県には移住CAが4名おり、日本海テレビさんでライターをされている先輩や、日本海ケーブルネットワークさんで番組を担当されている先輩、地域に密着した活動をされている先輩が、それぞれの個性を活かして活躍しています。私は鳥取県庁に配属され、農業体験や自主的に企画した取り組みに挑戦し、地域や鳥取県庁の方々に温かく受け入れていただきました。先輩方の支えもあり、主体的に地域貢献できていることを実感しています。
Q.お勤め先への入社理由や、普段のお仕事内容について教えてください。
A.小学校の卒業アルバムに「将来の夢はCA」と書いたのが入社のきっかけです。今年は、ANAのCA業務と鳥取県庁の勤務を兼務しています。
小学校の卒業アルバムに「将来の夢はCA」と書いたことをきっかけに、客室乗務員を目指しました。大学卒業後は一度別の仕事に就きましたが、夢を諦めきれずANAに転職しました。現在は地方創生を目的としたプログラムで鳥取県に移住し、CAとして働きながら、鳥取県庁でも勤務しています。フライトのない日は鳥取県庁でInstagram「とっとりdiary」を通じた情報発信を担当しています。自分を前面に出すのは得意ではありませんが、鳥取県の良さを多くの方に届けたいと考え、試行錯誤を重ねています。
Q.外から見た鳥取県と、実際に住んでみて感じた印象の違いはありますか。
A.砂丘だけではなく、海や星の美しさ、ご飯のおいしさなど、来てみないと分からないことがたくさんありました。

家族や友人を案内した鳥取観光の思い出を振り返る杉浦さん
移住する前は「鳥取県=砂丘」という印象が強かったのですが、実際に移住してみると、美しい海や満天の星空、豊かな自然、美味しい食事、人の温かさなど、多くの魅力があることに気付きました。私が案内した家族や友人も皆が「また来たい」と感想を述べていました。海鮮や砂の美術館などに感動し、その口コミが新たな来訪につながることもあります。鳥取県の魅力は実際に訪れて初めて実感できるものが多く、まずは身近な人に足を運んでもらうことが大切です。その積み重ねが、鳥取県のリアルな良さを広めていく大きな力になると感じています。
Q.今後のキャリアや、これから鳥取県で挑戦したいことを教えてください。
A.長期の目標は、鳥取県で培った経験をANAの新規事業立案に活かし、鳥取県に還元できる仕組みを継続することです。直近1年、鳥取県にいる間の目標は「友達100人」をつくることです。

鳥取県庁政策統轄課前の、「友達100人」企画のポスターとともに記念撮影
学んだことを終わらせるのではなく、会社に戻った後も新規事業立案を通じて鳥取県に還元したいと考えています。事業化や継続には難しさがありますが、地域に関わり続けることを長期的な目標とし、挑戦を続けていきたいです。短期的な目標は、鳥取県にいる間の1年間で「友達100人」をつくり、その出会いをまとめ、発信することを目指しています。地元の方に「こんな風に頑張っている人がいる」と知っていただき、県外の方には「この人たちと一緒に働きたい」と思っていただけるよう、活動を広げていきたいと考えています。
Q.普段の生活や趣味、活動について教えてください。
A.鳥取県内を観光して、豊かな自然やおいしい食に触れるのが好きです。
休日は自宅で過ごすことはほとんどなく、鳥取県内で観光や食を楽しんでいます。砂の美術館には6回、鳥取砂丘には10回以上訪れました。鳥取県の食はどれも美味しく、海鮮丼や鳥取県ならではのカレーの食べ歩きをしながら、お気に入りのお店も見つけました。また、川辺や海辺に寝そべって星を眺める時間が好きです。愛知県にいた頃は星を見るために長野県まで出向いていましたが、鳥取県では身近な場所で鮮明な星空を楽しめて感動しました。佐治アストロパークでお聞きした話によると、鳥取県は空気の透明度が全国の中でも特に高いそうです。これまで鳥取県東部を中心に巡ってきましたが、中西部はまだ一部しか訪れていないため、今後さらに開拓していきたいと考えています。
Q.役に立った鳥取県内の制度・サポートがあれば教えてください。
A.鳥取県には移住者や学生など、多様な人々に優しい制度が数多くあります。
私も移住者向けのサポート制度を利用し、大変助かりました。また、鳥取県庁でインターンシップをしていた学生も交通費補助を受けており、この制度が鳥取県内でのインターンシップ参加のきっかけになっていると感じました。こうした経験を通して、鳥取県の良さを実感してもらえる可能性があります。このような取り組みを通じ、鳥取県には人に寄り添った温かい制度やサポートが充実していると実感しています。
Q.交通や買い物など、生活の利便性はいかがですか。
A.車だけじゃない選択肢が増えることを期待します。
私は運転が好きなので不便に感じたことはありませんが、鳥取県は車がないと移動が難しい地域も多いと感じます。最寄り駅やバス停が遠い場合、移動手段が限られる上にタクシーの利用には一定の費用がかかるため、高齢者が無理をして運転して事故につながることもあります。こうした状況を改善するためには、新しい形の交通の発展が求められます。移動がしやすくなれば、地域経済の活性化にもつながります。例えば、鳥取市では既に、AIを活用した相乗りシステム「とりモビ」の取り組みが進められており、今後さらに発展・浸透していくことを期待しています。
Q.仕事とプライベートはどのようなバランスですか。
A.人とのつながりを軸に、仕事もプライベートも全力で楽しんでいます。
私のモットーは「よく働き、よく遊ぶ」です。仕事でもプライベートでも人とのつながりを大切にしています。お世話になった方に会いに行くために、大学時代に滞在した北海道の白老町や留学先の釜山を訪れることもあります。「とっとりdiary」の活動で、多くの方と交流できることも楽しみです。業務のフライトではバンクーバー、ワシントン、シカゴ、韓国、中国、伊丹・大阪などを飛び回り、休日も家族や友人を案内するため、オフの時間も人との関わりに費やしています。まとまった休暇は少ないですが、人とのつながりが私を動かす原動力であり、体が元気なうちはアクティブでありたいと考えています。
Q.鳥取県の好きな行事やイベント、来て驚いたことや予想外だったことはありますか。
A.鳥取しゃんしゃん祭りの一体感と、挑戦を応援する空気に驚きました。

鳥取しゃんしゃん祭りの話で盛り上がり、笑顔が溢れる
思い出深いのは、自ら参加した「鳥取しゃんしゃん祭り」です。地元の愛知県豊田市にも「おいでん祭り」がありますが、傘を使い、全ての連が同じ曲で踊る一体感は鳥取県ならではで、普段話せない方との交流が生まれました。こうした温かい祭りが継続していることに感銘を受けました。
また、鳥取県に来て意外だったのは、起業する人の多さです。地方は保守的な印象がありましたが、鳥取県には新しいことに挑戦する方が多く、鳥取県知事を筆頭に挑戦を応援する空気が広がっていると感じています。東京で参加したイベントでも「鳥取県知事は挑戦的」と話題になり、県外からも注目されていました。挑戦心と温かい応援があることは鳥取県の大きな魅力です。
Q.都市部にはない、鳥取県ならではの魅力を教えてください。
A.穏やかで温かい人が多いところが魅力です。
都会は効率やスピードが重視され、多くの方がプレッシャーを抱えて慌ただしく動いているように感じられます。しかし鳥取県では「ゆっくりでいい」「人と比べなくていい」と声を掛けてくださる方が多く、その人柄に大きな魅力を感じます。仕事を進める中でも、こうした温かさに触れる機会が多くあり、安心して挑戦できる環境があると実感しています。鳥取県には、人を大切にする穏やかな気風が根付いており、それが都市部にはない魅力だと思います。
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★取材した感想★

鳥取県出身の現役大学生の定久さん。新しい形で鳥取県で勤務されている杉浦さんのお話に興味が止まりません。
取材を通して、人との関わりを心から楽しむ杉浦さんの姿に魅了されました。新聞で気になる人を見つけてはすぐに連絡し、直接会いに行く。しゃんしゃん祭りに自ら志願して参加する。移住からわずか4か月で数多くの人に、積極的に会いに行き、その度に様々なことを吸収してきた杉浦さんだからこそ見える鳥取県の良さがあると感じました。特に印象に残ったのは、1年以内の目標として掲げる「友達100人作って本にまとめる!」という企画です。杉浦さんは、鳥取県で出会った人々について、その表情や声色まで想像できるほど生き生きと語るため、聞いているだけでワクワクしました。鳥取県育ちの私は、県民の温かさを知っていますが、その魅力を言語化することは容易ではありません。しかし杉浦さんの語りは、素敵な人々をより鮮やかに可視化する力を持っています。「なんとなく鳥取県民の雰囲気が好き」で止まってしまっている多くの人にとって、この企画は鳥取県の非物質的だけれど誇るべき魅力を再認識し、県外にも発信できる契機になると感じました。
もし、私が社会人になったら…「こんなふうに鳥取県で暮らしてみるのもアリかも」
今回の取材を通して、「人生のどこかのタイミングで必ず鳥取県に戻り、経験を還元したい」と心に決めました。これまでは鳥取県に定住するか他地域で暮らすかの二者択一だと思っていましたが、杉浦さんのように期間限定で濃厚に関わる人もいれば、長く浅く関わる人もいると知り、ひとことに鳥取県の暮らしと言っても、その形は多様だと気付かされました。私は鳥取県の海や山、空気、食べ物、人の温かさが好きで、家族や友人といつまでも、のんびり暮らせたら幸せだと思います。しかし愛しているからこそ、単に鳥取県にとどまるのではなく、杉浦さんのように内側と外側をつなぐ存在として、この地で暮らしていきたいと思っています。そのために、今は大学での学びや活動に真剣に取り組み、人との関わりを通して鳥取県に貢献できる人材へと成長したいです。何年か先の未来に、鳥取県にしかないおいしい食や、温かい地元の方との出会いを求めて、県内を探検できる日々が待っていたらいいなと思います。
※2025/8/28(木)に取材


