
鳥取市(東部)
同世代の仲間-「「一人ひとりが輝けて、大切にされる」――鳥取で見つけた、私らしい働き方。」
鳥取県 令和の改新戦略本部 とっとり未来創造タスクフォース 秋山遼佳さん
インタビュアー:栗林羽梨
鳥取県庁「とっとり未来創造タスクフォース」で活躍する秋山遼佳さん。Uターン就職を経て、「30年後の鳥取県を創る」ことを目指し、県内の若手職員や地域の人々と新たな挑戦を続けています。都市部にはない“ゆとり”と“つながり”の中で、自分らしく働く秋山さんの思いを伺いました。
<秋山遼佳さんのプロフィール>

20代(※取材当時)鳥取県出身
鳥取県で生まれ育ち、大学入学をきっかけに広島へ進学。
その後、就職のタイミングで鳥取県にUターン。現在は鳥取県庁で勤務。
県庁職員として、商工や子育て部局、東京都内にある民間団体への出向など3つの部署での勤務を経て、現在は 令和の改新戦略本部「とっとり未来創造タスクフォース」という部署で勤務している。
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Q. 移住された理由、きっかけを教えてください。
A.大切な人がいる場所だったからです。
広島県で学生生活を送りながら将来のことを考えていたとき、家族や友人といった、私にとって大切な人がいる鳥取県にいずれ戻るのだろう、となんとなく思っていました。就職活動の時期、同級生たちは「鳥取県は何もない」と言って大阪や東京などの都市部で就職を希望していました。鳥取県にはまだ知らない魅力が多くあるはずなのに、自分の関わったことしか知らないのはもったいないと感じ、鳥取県の魅力を自分自身も知りながら、伝える仕事に関わりたいと思い、鳥取県庁にUターンで就職しました。
Q.お勤め先への入社理由や、普段のお仕事内容について教えてください。
A.30年後の鳥取県を創っています。

資料を用いながら自身のお仕事について教えてくれる秋山さん
「鳥取県のプロフェッショナルになりたい」「県庁の仕事を通して鳥取県の魅力を伝えたい」――そんな思いで、鳥取県庁に入庁しました。現在は「とっとり未来創造タスクフォース」という「本当に県庁の部署なの?」と思うような、かっこいい名前の部署で働いています。この部署は、県庁内の若手職員6人で構成されており、鳥取県の若者とともに未来を考え、30年後の鳥取県を創り出していくことを目的としています。県内の面白い人たちと一緒に、ラジオ番組や、気軽につながることを目的としたU35交流会を開催したりと、さまざまな分野にわたって鳥取県の未来づくりに取り組んでいます。
Q.外から見た鳥取県と、実際に住んでみて感じた印象の違いはありますか。
A.いつでも戻ってくることができる場所、だと思います。

東京と広島の生活を振り返る秋山さん
鳥取県で生まれ育ち、広島の学生生活や県庁からの出向で東京の生活も経験しました。一旦、鳥取県から離れてみる。だからこそわかる魅力があると感じています。県外に出るまでは、鳥取県に対して特別な愛着があったわけではありませんでしたが、県外で暮らしたことで、自分が鳥取県で生まれたことや、この地域への愛着に気づきました。鳥取県は私にとって、心のよりどころであり、ふるさとでもあります。いつでも戻ってこられる場所であり、安心できる存在だということを、Uターンしたときに改めて実感しました。
Q.今後のキャリアや、これから鳥取県で挑戦したいことを教えてください。
A.鳥取県を一人ひとりが創っていける社会にしたいです。
これからの鳥取県を自分たちの手で創っていく――そんな思いを、より多くの人に持ってもらいたいと考えています。そのような考え方ができる人を少しずつ増やしていきたいです。将来的に日本の人口はさらに減少すると言われていますが、私が思い描く鳥取県の未来は「それぞれのやりたいことができて、自分の想いが達成できている。自分のありたい姿でいられる場所」。私自身、仕事を通してそう感じることができました。だからこそ、これからの鳥取県について前向きに考える人を増やし、サポートしていきたいと思います。仕事以外の場面でも、人と人、地域と地域がつながり、みんなが幸せを感じられる鳥取県になってほしいと願っています。
Q.普段の生活や趣味、活動について教えてください。
A.常に何かやりたいことがあって忙しいです。(笑)

おすすめのお店をたくさん教えてくださいました。
以前は休日にやることがないと感じていましたが、今はやりたいことが常にあって忙しくも楽しい毎日です。大阪・関西万博に行ったり、おもしろそうなイベントやワークショップに参加したりしました。休日は、お気に入りのご飯屋さんで朝ごはんを食べてから1日をを始めることもあります。鳥取県はお店の数こそ多くありませんが、その分、自分のお気に入りの店を見つけやすいのが魅力だと思います。私のおすすめは鳥取市国府町にある「麒麟cafe」のおにぎりモーニングとたい焼き、それから鳥取駅前にある「めんや ふうたろう」の汁なし担々麺です。
Q.地元の方々との関わりや、鳥取県内の制度・サポートについてのエピソードがあれば教えてください。
A.想いを持った人を繋ぐ仕組みがあります。

制度について調べながらお話を聞きました
個人的に、鳥取県が独自に行っている「ミラ・クル・とっとり運動」が素敵だなと思っています。これは、地域をより良くしたいという想いを持つ地域住民や団体に対して、県が補助金を交付したり、好事例を横展開していく仕組みです。また、とっとり未来創造タスクフォースでの業務を通して、鳥取県には、地域を良くしたい、何かやってみたいという想いを持った人がたくさんいると感じました。そうした人々の想いを引き出し、実現に向けて後押しできるような土壌が少しずつ整ってきていると感じています。私は県庁職員として、このような熱い想いを持った人たちを行政の立場からつなぎ、何かが生み出される場づくりができたらいいなと考えています。
Q.交通や買い物など、生活の利便性はいかがですか。
A.お気に入りのお店をすぐに見つけられます。

県外を体験しているからこそ分かる話で盛り上がりました
住んでいると、不便を感じることはほとんどありません。確かに、他の地域と比べるとお店の数は少ないですが、鳥取県でも十分快適に暮らせます。むしろ都会は選択肢が多すぎて、自分の好きな場所やお気に入りのカフェを見つけることが大変なくらいです。鳥取県はその点でちょうど良いバランスだと思います。車社会と言われていますが、車を持っていなくても鳥取市内であれば問題なく生活できます。汽車(列車)も混雑せず、必ず座ることができるので、自分のペースに合った生活ができると感じています。
Q.仕事とプライベートはどのようなバランスですか。
A.仕事を通じて芽生えた興味がプライベートのワクワクにつながっています。
仕事は8時30分から17時15分までと時間が決まっており、そのあとは自分の好きなことをして過ごせていて、今の生活リズムは良いバランスだと感じています。最近は、仕事を通して興味を持ったことが少しずつプライベートにも広がり、仕事と趣味の境目があいまいになってきましたが、休むときはしっかり休みつつ、仕事で得た関心をきっかけに調べてみたり、新しいコミュニティにつながったりしています。そこで出会う人たちとの交流もとても楽しく、仕事でもプライベートでも、面白いことがあちこちに散らばっている日々を楽しんでいます。
Q.鳥取県の好きな行事やイベント、来て驚いたことや予想外だったことはありますか。
A.人がいない鳥取県に人が集まる、そんな瞬間が好きです。

楽しそうに教えてくださいました。
普段は人が少ない鳥取県ですが、毎年お盆の時期に開催される“鳥取しゃんしゃん祭”やお花見を楽しむ“桜まつり”、商店街で開かれる“土曜夜市”などのイベントになると、驚くほどたくさんの人が集まります。まるで鳥取県中の人が勢ぞろいしたかのような光景を見ると、とても楽しくて嬉しいです。若い人たちが集まって盛り上がっている様子を見ると、「鳥取県いいな、面白いな」と感じます。昨年までは見る側だった鳥取しゃんしゃん祭に、今年は傘踊りをする側として参加しました。見てくれる人に楽しんでもらいたいという思いで参加しましたが、自分自身もすごく楽しかったです。来年もまた踊りたいと思っています。
Q.鳥取県だからこそ活きる事業の魅力、またはこの事業だからこそ活きる鳥取県の魅力ってありますか。
A.あなたが輝ける、そんな事業がたくさんあります。
鳥取県は日本で最も人口が少ない県ですが、だからこそ一人ひとりとの距離がとても近いと感じます。「この人に会いたい」と思ったときにすぐ会いに行くことができ、面白い人がいればすぐにつながることができます。私が所属している「とっとり未来創造タスクフォース」も、鳥取県だからこそ活きる事業だと思います。他県の職員の方と話すと「鳥取県は面白いことをしているね」と言われることが多くあります。人口規模が小さい分、一人ひとりの裁量が大きく、やろうと思えば何でも挑戦できる環境があります。人口が少ないからこそ、一人ひとりが輝けて、大切にされる――それが鳥取県の魅力だと感じています。
Q.都市部にはない、鳥取県ならではの魅力を教えてください。
A.鳥取県には都市部にない「ゆとり」があります。

かっこいい看板の前で撮らせていただきました。
都市部にはない「ゆとり」が、鳥取県にはあると感じています。詰まりすぎていなくて、ちょうど良い余白がある。やろうと思えば何でもできるし、無理にやらなくてもいい――そんな柔らかな「ゆとり」が、この場所にあると思います。場所も人も、一人あたりが使うことできる空間が都市部より広く、それが鳥取県ならではの魅力です。東京で生活していた頃は、満員電車で1時間かけて通勤していました。暮らしていける環境ではありましたが、少しずつ何かが削られていくような感覚がありました。都会で生まれ育った人にはそれが当たり前かもしれませんが、私には鳥取県での生活が合っていると感じています。
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★取材した感想★

県外出身の栗林さんだからこそ響いたこともあったでしょう
「鳥取県は意味のある「矢印」が自分に向けられている場所だ」そんな風に感じました。私は大阪府で生まれ育ち、現在も大阪府で暮らしながら大学に通っています。秋山さんがインタビューの中で仰っていた満員電車の話が、すごく刺さりました。私自身も毎日満員電車に揺られながら、大阪で暮らしていますが、少しずつ何かが削られていくような感覚があります。大阪は鳥取県と比べると人もたくさんいるし、モノもたくさんあります。情報が飽和しすぎている、そんな気がします。秋山さんのお話を聞いて鳥取県は人口最少県だからこそ、一人ひとりの裁量が大きくて、やろうと思えばなんだってやれる、そんな可能性を感じました。大阪にいると、「とりあえず誰でもいいから“誰か”が必要だ」という、不特定多数に向けられた無数の矢印が、知らない間にたくさん刺さっていて、知らない間に削られている。そんな感覚があります。一方で、鳥取県に来ると「わたし」に向けて矢印が向かってきていて、矢印を放つ相手の顔もしっかり見える、鳥取県とはそんな場所なんじゃないか、と思いました。
もし、私が社会人になったら…「こんなふうに鳥取県で暮らしてみるのもアリかも」
「一人ひとりがなんだってやれる。いらないと思ったら、その時はいらないでいい。」秋山さんのその言葉が印象に残りました。社会人になって鳥取県で暮らすなら、自分のやりたいことをなんだってやろう、やってやろう、と思いました。成功するかはわからないし、形になるかもわからないけれど、とりあえず一歩を踏み出してみよう。そうすると、きっと誰かが助けてくれるし、何かできるんじゃないか。鳥取県はそんな可能性に満ちた場所なんじゃないか、鳥取県だったらできるんじゃないか、そんな風に思います。「鳥取県にはゆとりがあります。」という言葉も印象に残っています。都市部にはない余白、揺らぎ、ゆとりが鳥取県にはあると思います。鳥取県で暮らすなら、そんな隙間を、余白を、楽しみたいと思います。余白を埋めてしまうと、息が詰まってしまって、しんどくなってしまうと思います。だから、埋めるんじゃなくて自分の好きなように好きな色で塗る。田舎だけど、何もないわけではなくてお店もあるし、自然も近くにある。人も少ないけれど近くにはいて。休みの日はお気に入りのお店やお気に入りの場所を見つけてそこで自由に過ごす。そんな日々を過ごしたいと思いました。
※2025/9/18(木)に取材



