ホーム移住者インタビュー鳥取県への移住体験ツアー2023.11/23-11/26鳥取体感ツアーTRPGの様子(鳥取県東部)

移住者インタビュー

2023.11/23-11/26鳥取体感ツアーTRPGの様子(鳥取県東部)

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人を巡るツアーへいってみた

「鳥取体感ツアー」という響きに直感的に惹かれた。
ツアーと言ったら、一般的には観光スポットを巡るものだというイメージを持っていた私には、どんな人に会いに行くのか、想像ができなかった。

大学時代の4年間を鳥取で過ごした。はじめはとても田舎だという感想しかなかったけど、住んでいるうちに愛着が湧いてきた。でも、いざ卒業となると、自分がやりたい仕事を求めて、東京の会社に就職した。

東京の生活は楽しい。仕事は毎日必死に食らいついている感じだけど、職場の人間関係も充実しているし、呑みに行く友だちもできた。鳥取と違って、お金を払って遊びに行ける場所は多い。それでも、鳥取ののんびりとした生活を時々懐かしく思い出す。

 

どんな人に会ってみたい?

10月、事前説明会にZoomで参加。なんとツアーの内容は決まってなく、参加者の「こんな人に会いたい!」というオーダーに応じたツアーが組まれるとのことで、参加者同士で対話をしながら、どんな人に会ってみたいかを考える。

「行政マンだけど、一般的な行政マンのイメージとは違う働き方や活動をしている人」
「農林漁業に挑戦している同世代の人」
「趣味の延長で飲食店や本屋などの個人商店を営んでいる人」

が、私たちのオーダーとなった。

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居心地の良い空間

いざ、ツアー1日目。
集合場所の「もちがせ週末住人の家」に着くと、すでに他の参加者も集まっていて、前夜祭ということで鍋とお酒を勧められ、良く分からないままに乾杯をする。オンラインで顔を合わせていたとはいえ、ほぼ初対面なはずなのに、特に緊張することもなく、居心地の良い空間で、自然とお互いの学生時代や今の仕事、これからやりたいことなど、話が弾んで夜が更けた。

 

視点が変わる

ツアー2日目。
”汽車“移動がどんな感じなのかを体験してみよう、ということで鳥取駅まで汽車で移動。学生時代は時々乗っていたとはいえ、やはり本数の少なさと、自動改札がないことに改めて驚く。
商店街を歩いて、喫茶店で朝食を食べる。学生時代はゆっくり歩いたことがほとんどなく、レトロな雰囲気の喫茶店があるなんてことは知らなかった。社会人になって金銭感覚が変わると、こうした楽しみ方も増えるんだ、と感じる。

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お腹も満ちたところで、さらに商店街を歩き、鳥取県庁へ。「とっとり未来創造タスクフォース」という県庁内に新設された若手職員のみで構成された新部署のみなさんとの交流会。若い世代の視点で30年後の鳥取のビジョンを練りながら、これまでの課の枠組みでは取り組みづらい事業を実施したり、各課と連携しながら、その取り組みを未来志向で支援していく活動をしているという。地方というと、どうしても年配の人たちが多く、その意見が強いというイメージがあったが、組織として若い世代の意見を積極的に反映していこうとしているのは驚きだった。
私たち参加者がなぜ今回のツアーに参加しているのか、どのようにしたらより関わり続けられるのか、ひいては移住するのか、についても活発に意見交換ができた。やはり「仕事」は重要な要素だ。だけど、「仕事がない」と言っていても仕方がないので、新たに仕事をつくったり、都市部でリモートでもできる仕事をつくり、仕事を持ったうえで移住してくる「転職なき移住」を、個人のライフプランの選択としてだけでなく、産業界全体で支援していくなどのアイデアが飛び交った。

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午後は、シェアオフィス「マーチングビル」に伺い、まちづくり会社「まるにわ」の中川玄洋さんにお話しをお聞きした。学生時代も一度お話を聞いたことはあったものの、マーチングビルのことは知らなかったし、点と点がつながって、鳥取駅周辺のエリアリノベーションが少しずつ進んでいることや、関係人口として複業人材が関わっていることを知ることができた。

「これからもっと若い世代が活躍できる場所になる」

と玄洋さん。玄洋さん自身も若いころからNPO法人を立ち上げられて、今は中堅としてさらに若い世代の挑戦をサポートしている。こうした中堅世代が居てくれることは、私たち世代が何か挑戦するときに一番心強いはずだ。

学生時代と社会人になってからでは、同じ鳥取という場所でも見え方が全く変わった。働くということがどういうことなのか、少しは分かった今だからこそ、若手職員のみで組織された県庁の部署や、県外から複業で関わることの可能性を身近なものとして実感することができた。

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週末住人の家に帰ってからは、ローカルジャーナリストの田中輝美さんを囲み、自分のこれからのキャリアを考えるワーク。「好きなこと」「できること」「求められること」が重なる「金脈」を、参加者同士で対話しながら探す。見つけた金脈を言い表すオリジナル肩書を考えてワークは終了。これは、時々振り返りアップデートしながら、自分のキャリアの軸として持ち続けたい。

 

面白い人には面白い人が集まる

ツアー3日目は、のんびりスタート。
朝ごはんを食べながら、昨日のワークの振返りをする。

その後は、廃校を活用したシェアオフィス「隼Lab.」へ。学校の建物というだけあって広く、IT関連を中心に様々な企業が入居していることを知って驚いた。地方にもきっとビジネスチャンスはあり、同じ地域課題に立ち向かうからこそ、会社同士のシナジーも生まれやすいのかもしれないと想像する。

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昼食は鳥取なのに「北海道」という名前の回転寿司へ。回転寿司とは思えないネタのボリューム感に大満足ののちには、公立鳥取環境大学のキャンパス内で放牧されているヤギに癒され、気持ちの良い青空の下で昼寝。なんともいえないのんびりした時間の流れに、鳥取に帰ってきたなあ~としみじみした。

午後は、智頭町で林業をしている加藤さんのもとを訪れる。加藤さんは学生時代に「東北食べる通信」でのインターン経験を通じて、一次産業を営む人をカッコいいと感じ、様々な縁から大学卒業後に智頭町で林業を始められたそう。林業という想像もしたことがなかった仕事を生業にする同世代がいること、そして何よりも楽しそうに仕事の話をしてくれたことが心に残った。

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山から下りた後は、加藤さんが営む本屋「アカゲラブックス」へ。林業の傍ら、趣味の延長線で本屋をやっているというから、その行動力たるやすさまじいと思った。しかし、加藤さんの話を聞いていると等身大のありのままの姿で智頭町の人たちと繋がりながら、助けてもらうことで、自然と本屋を始められたということだった。

夜、週末住人の家に戻ると玄関はすでに靴で溢れかえっていた。そう、この日は月1回の「週末なべ部」の開催日。大学生を中心に、老若男女が集まって鍋を囲み、とりとめのない話から人生相談まで、思い思いに語り合いながら過ごす美味しく楽しい時間だ。人がいない印象のある鳥取だけど、これだけの人が集まるポテンシャルがあるのだと圧倒され、気づいたら夜が更けていた。

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人に会いに、またきっと来る

学生時代ぶりに鳥取を訪れた今回のツアーも最終日。実はこの4日間、感じたことをショート動画にするというミッションが参加者には課されていた。さて、どんな動画にしようかと作戦会議と編集をしながら、帰り支度をする。
学生時代から繋がっていた人もいるが、今回初めてお会いした方も多かった。自分が社会人になった分、鳥取を見る目も変わった。もしかしたら、マーチングビルに会社のサテライトを出せるかも?なんて、自分のこれからのキャリアと重ねて具体的にイメージすることもできた。

鳥取が、会いに行ける人がいる場所となった今、これからの私の人生がどんな道を歩むとしても、鳥取との関わりは深くなるだろうと思う。