竜一さんは鳥取市出身、祐子さんは北海道出身。前職は2人とも東京都内の介護施設で介護職に従事。竜一さんが40歳になることを機に鳥取県への移住を検討。移住相談会に参加した際に農業に魅力を感じ、2017年に北栄町の地域おこし協力隊に夫婦で就任し、鳥取(北栄町)へ移住。竜一さんはいちご栽培、祐子さんは同町妻波地区の地域活動などに携わり2021年就農。同地区で親子3人暮らし。

 前職は同じ職場で2人とも介護職だったので、夜勤やシフトのタイミングが合わず、一緒に暮らしていてもすれ違いの時間が多かったです。移住して、お互いの生活サイクルが整い、暮らしにゆとりが生まれました。子どもも授かることもできて、自然豊かな環境でのびのびと子育てしています。近所の方から赤ちゃんグッズのお下がりがもらえて、助かりました。




 2人とも農業未経験でしたが、地域おこし協力隊や新規就農者を支援する鳥取県のアグリスタート研修を経て2021年1月に就農し、特産の大栄西瓜やねばりっこなどを栽培しています。就農にあたり、新居や農地探しなど、地域の人たちに助けてもらいました。分からないことは先輩農家さんが教えてくれるので心強いです。皆さんに感謝しています。




 農業の醍醐味は何と言っても収穫の喜び。土や苗から一生懸命育てて、手をかけた分だけ成長し、おいしそうな実をつけてくれます。先輩農家さんたちは、それぞれこだわりを持って農業に取り組んでいるので、良いところを吸収して自分たちのこだわりを見つけていきたいです。良いものをつくり、規模の拡大と経営の安定を目指しています。




 休みの日は子どもと一緒に遊んでいます。夫婦で御朱印集めが趣味なので、いずれは山陰の神社巡りもしたいですね。地域のお祭りや敬老会では夫婦で出し物をするなど積極的に参加し、地域の方との交流を深めています。田舎でしかできない楽しみを探しながら、子どもがのびのびと成長できる環境をつくっていきたいです。




 田舎は車が必須ですし、新生活にはある程度の出費がかかるので、貯蓄をしておくことが大切だと感じました。またふるさと鳥取県定住機構の移住相談では住まいや仕事、支援制度などの情報を得られます。私たちは高速道路料金や飛行機代の補助制度*を利用できました。目的と募集内容がマッチしていれば、地域おこし協力隊も移住の入口になると思います。情報を集めて「何をしたいか、どんな生活をしたいか」を具体的にイメージしておくことが重要です。
*「オーダーメイド助成金」で移住の下見等の際、交通費を一部助成します。
 詳しくは(公財)ふるさと鳥取県定住機構にお問い合わせください。

 




 鳥取県の中部にある北栄町は、黒ボク土(火山灰が積もって出来た火山灰土で栄養価に富んだ土)に恵まれた農業が盛んな地域で、特に大栄西瓜は全国的に有名です。町では独立就農を目指す人向けの地域おこし協力隊を募集。これまで30~40代を中心に約15人が隊員を務め、実際に就農に結びついた人も多くいます。協力隊には他に、有害鳥獣駆除、観光PRを目的とした隊員枠があります。


 農業に興味があっても、なかなか個人で研修先を見つけることは難しいと言われています。しかし、北栄町では農業が盛んという地域の特性を生かして、新規就農を目指す隊員に対して農業法人などの研修先を紹介しています。役場には就農相談員が常駐し、新規就農に向けたサポート環境が整っており、先輩隊員や地元農家たちも相談に応じてくれています。


 農業に興味がある人、積極的に地域の活動に参加できる人を募集しています。地域の行事や活動は、地元の人たちとのコミュニケーションを深める絶好の機会。地域の輪に自分から入ろうとする人は、地域に溶け込むのも早いです。移住前から具体的なイメージが持てる情報提供や移住後は地域住民とのマッチングなどサポート体制も充実しています。
北栄町観光交流課 交流推進室 主事 永田涼花

  • 住所/東伯郡北栄町由良宿423-1
  • 業種/地域おこし協力隊
  • 休日・休暇/原則週30時間勤務
  • 募集業務/就農を目指す活動など
  • HP/https://www.e-hokuei.net/9289.htm