株式会社 皐月屋(さつきや)
林業作業員
KATO Tsubasa
長野県出身。京都大学在学中に1年間休学してNPO法人東北開墾でインターン。食材と一緒に生産者のストーリーを伝える「東北食べる通信」制作を通じて、農業や漁業などの一次産業に触れる。幼少期から林業を身近に感じていたことと、また智頭町への先輩移住者でもある渡邉さんとの出会いがきっかけとなり㈱皐月屋への入社と移住を決意。現在は智頭町内の一軒家で1人暮らし。
田舎でのんびり暮らしている人はむしろ少なく、それぞれたくさんの仕事やイベントを抱えておられます。田舎だからこそ一人一人の役割が大きいと移住してきて感じました。私もできることを増やして会社や地域に貢献していきたいです。
智頭町内の山林で主に間伐作業を行っています。最初は分からないことばかり。チェーンソーの刃の研ぎ方から、狙った方向に木を倒す方法、倒した木を4m間隔で造材(枝払い、切断して素材丸太にすること)する作業まで、どれも細かい技術と経験の積み重ねが必要です。先輩方から教えてもらって、少しずつできることが増えて、自分の成長を感じています。
林業の仕事を通じて、新しい知識を得たり、視点に気付けたりした時は、林業の奥深さを実感し、「もっと経験を積まねば」とやる気が出ます。林業と全く異なる分野を学んできたので、これまでに身に付けた知識や経験、考え方と掛け合わせて、智頭町の林業をより強く太くしなやかな産業にしていきたいです。
若手グループ「智頭ノ森ノ学ビ舎」の活動に参加し、持続可能な林業を次世代につなぐための技術を学んでいます。林業関係者だけでなく、大工や農家など、林業に関わりたい幅広い職種の人が参加しているので人脈も広がっています。会社にある木材や機械を使って木工も始めました。本棚や食器棚、しゃもじなど、生活に必要なものを少しずつ手作りしています。
読書が趣味で、小さな移動式本屋の出店を始めました。大学で専攻していた社会経済学系統や現代社会論、農業関連など、自分が読んでおもしろかった本を持って、町内外のイベントに出向いて販売しています。木を使う側の視点を知りたくて、今春大学へ編入し、建築デザインの勉強も始めました。いずれは自分で小屋でも建てられたらと思っています。
Q.Iターンしたきっかけは?
A.移住を決意することになったのは『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の著者である先輩移住者の渡邉さんとの出会いに強く影響を受けたから。
Q.Iターンで苦労したことは?
A.新しい土地での暮らしや人付き合いの間合いをつかむまでに、ある程度の時間を要した。
Q.Iターンして良かったことは?
A.興味のあることにすぐに取り組める。また、林業という自分のフィールドができたこと。
大学時代は寮や6畳1Kのアパート、3人で1部屋を使うシェアハウスなどで暮らしていました。今は町内の空き家だった家を借りて住んでいます。面積は8倍くらいになって、家賃は半分以下になりました。
彼は、探求心があって自分からいろいろ質問してくれます。素直に人の話を聞くので、技術の習得も早いですね。バイタリティーと行動力があって、いろいろなことに積極的で、人とのつながりも大事にしています。
林業のなかでも智頭町内の持ち山に作業道を開設して、間伐や間伐した木の搬出を行い、山林の育成を行っています。委託を受けて、他の山主が所有する山林の管理も行います。根元の端材を利用した薪の販売やビールの原料になるホップの生産などを通じて、里山資源を活用した地域内循環を目指しています。
山林は河川を通じて海までつながっています。山林から流れる水が安定していると、下流にある田畑や海の生態系も守られます。目先の利益にとらわれず、作業道の開設や間伐で災害のない山を作り、豊かな暮らしを守る心を伝えています。また、冬期には3週間の連続休暇を用意。自分で時間を調整しながら自然の中で働くという“生き方”ができるのも林業の魅力です。
加藤さんは、自分から動いてたくさんの人と出会い、情報を得て、その中から「これだ!」という職を見付けられました。その行動力に感心しました。自分でつかんだ夢を実現されたので、今こうしてイキイキと働いていらっしゃるのだと思いました。