移住体験談

【新着】お金では買えないものがすぐそばに。智頭町はあまりにも豊かな場所。

IMG_20210602_153628.jpg奥井さんは林業を「暮らしの根源」と考えている。「水を生み出すのは山。山の環境に大きくかかわることができるのは非常にありがたいことだと感じています」。

IMG_20210602_165536.jpg山に囲まれている智頭町だが、コンパクトな町内にはスーパーやドラッグストア、総合病院があり、意外と便利。

納得できる生き方を求めて飛び込んだスギの山

 四方を山に囲まれた智頭町。町内には「慶長杉」と呼ばれる樹齢300年以上の人工林も残る。智頭町は、吉野杉や北山杉などと並ぶスギの名産地だ。その智頭の伝統基幹産業である林業の担い手の1人が奥井彩音さん(26歳)。町内の若手林業家で組織する合同会社に所属し、林業に従事している。 

 東京出身の奥井さんは高校時代から日本庭園などの景観や環境に関心があり、「東京にすぐ帰れない場所で1人暮らしをしたい」と公立鳥取環境大学に進学した。奥井さんは、4年生の2019年12月、智頭町の林業就業希望者の募集を知った。就職先は決まっていたが、「好きではないスーツを着て就職活動をすることに納得できていない状態で、自身の生き方を見つけたいと強く感じていました」と奥井さん。
 大学4年のときに家具製作体験をして木に関心を持っていたこともあり、この募集に強くひかれ、内定を辞退。大学時代のボランティアサークルの理事長から今の職場を紹介してもらい20年7月に新卒で入社した。

 仕事は、製材となる良質な木を育成するために木を切って間引く「間伐(かんばつ)」。夏場は週4〜5日、梅雨時期や冬は天候を見て1〜3日、3人組で朝7時から夕方5時まで森林に入りチェーンソーなどを使い作業する。「間伐した長さ30㍍の木は力任せではなく、木の重心を持つことでスムーズに動かせます。チェーンソーの音で声が聞こえにくいときはジェスチャーで説明もします。観察力とコミュニケーションが非常に大切な仕事ですね」。現場で学びながら林業家として成長する日々だ。

IMG_20210602_162035.jpgデザインは、ほぼ毎日通うシェアオフィスで作業。ここで林業仲間とプロジェクターで映画を見たり、第二のわが家的存在。

 

IMG_20210602_163601.jpg奥井さんのデザインは、シンプルで温かみがある。左は話題のローカルえんぴつ「智頭杉鉛筆」のリーフレット。

 

IMG_20210602_140247.jpg町が改修した築100年近い古民家に、町内の天然酵母パンの店で働く女性とシェアして暮らす。映画のロケができそうな景観だ。

 

DSCN8830.jpg古民家で一緒に暮らす高田明香里(あかり)さん(25歳)も移住者。気づいたほうが家事をするなど、「お互いに助かる暮らしはいいですね」と2人はかけがえのない仲。

暮らしの資源が揃うまち。ここなら自給自足できる

 奥井さんにはもう1つ仕事がある。それはデザイナーとしての活動だ。高校でプロダクトデザインを専攻していたこともあり、自宅横に溶接作業場を設け、地元カフェや仕事場の机を製作。さらに森林セミナーの告知リーフレットの作成、20年12月には地元の智頭農林高校が携わった商品「智頭杉鉛筆」のフライヤーのデザインなど、林業を広げる広報の役割も担っている。

 仕事場は町の中心部にあるシェアオフィス。森林での仕事を終えて自宅に戻り準備をして、夜に片道約5㌔を自転車で出勤する。じつは自転車は、理想とする「持続可能な循環型社会」の〝先取り体験〞でもある。
「極力、化石燃料を使わない生活を目指して、1年前から移動手段は自転車です。道に杉皮がよく落ちているのを見て〝智頭だなぁ〞と実感しますね(笑)」

 東京から鳥取市、そして智頭町と生活拠点をより自然に近づけている奥井さん。智頭町を「おいしい水、ホタル、森林、どれも東京ではお金を払ったり、わざわざ出かけて得られるもの。それがすぐそばにある、あまりにも豊かな場所」と称賛する。
 今、奥井さんは生ごみの堆肥再生やマツを着火材として商品化する準備も進めている。「智頭なら本当に自給自足ができると思います」と目を輝かせる。循環型社会の実現に向けて、智頭での活動はまだ増えそうだ。

智頭町のここが好き

まちから見える智頭の山々

IMG_20210602_160211.jpg国道沿いや智頭駅付近からは、複数の稜線が美しく重なる山の表情が楽しめる。スギが豊富で四方を山々に囲まれた智頭ならではの風景。

機構HP用原稿(奥井さん)-7.bmp

 

智頭町の移住支援

町が主体となり「智頭町空き家・土地情報バンク」を運営し、智頭町への移住希望者に空き家や土地の最新情報を紹介。空き家の改修・購入に対する補助金や所有者の家財道具の処分費への補助金など、住まいに関して幅広く支援している。また保育料軽減など子育て世帯に対する補助や、2021年度からは新婚世帯(3年以内に婚姻届を提出した者)のIJUターン者に10万円(うち5万円は地域通貨)を支給する制度も始まっている。

機構HP用原稿(奥井さん)-2-8.bmp

智頭町企画課の岡本康誠さん(左)、移住定住コーディネーターの西永志保さん(右)
お問い合わせ:智頭町企画課 ☎0858-75-4112

 

宝島社発行「田舎暮らしの本」2021年8月号掲載

新着記事

一覧へ戻る
トップ移住体験談【新着】お金では買えないものがすぐそばに。智頭町はあまりにも豊かな場所。