移住体験談

鳥取で癒されながらリモートワーク

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<川﨑富美さん>
Uターンで起業。人とのつながりがうれしい

 東京で大手小売会社のプロダクトデザイナー兼バイヤーとして働いていた川﨑富美(わかさきふみ)さん(41歳)は、故郷・鳥取市にUターンしてこの春で4年目を迎える。「東京での仕事にやりがいはありましたが、職業柄、人工物を見ることが習慣化してストレスになっていました」
 川﨑さんの心が落ち着くものは、手づくりの品や出張の際に触れる地域の風習や伝統。「自分がいいなと思うものや場所は、鳥取と似た感じでした。鳥取が合っていたんですね」
 鳥取で起業して暮らしの一部として仕事をすると決めた川﨑さんにとって、長い時間を過ごす家は重要。市の空き家バンクで物件を探し、田んぼの前に立つ古民家を借りた。趣や造りが川﨑さん好みで、状態もよく簡単な補修だけで入居できた。
 仕事はフェイスブックでつながった仲間から人脈を広げ、前職を活かしたデザインのほか、店舗ディスプレイや商品セレクトも手がける。「午前中はデスクワーク、現場仕事や打ち合わせは午後ですね。今は自分で時間や仕事をコントロールできるので、忙しくてもつらくありません。近くの温泉に入ればリフレッシュできますし」。
 鳥取に戻り「仕事の価値観も変化した」と川﨑さん。昨年秋にディレクションした地元雑貨店には、多くの客が訪れる。「〝店に行ったよ〞というお声もかけていただきました。鳥取は〝人のつながり〞が見えるのがうれしいですね」と満足そうだ。

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気分転換は、自宅近くを流れる河内(こうち)川沿いの散歩。ほかには地元の名峰・鷲峰山(じゅうぼうざん)の眺めもお気に入り。

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仕事場にしている1階の大広間からは田んぼが一望。川﨑さんが、この家に一目ぼれした風景だ。「野鳥が訪れるのも楽しみなんです」。

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もと農家だった古民家。近所で農業をしないのは川﨑さんだけだが、その分、気にかけてもらえるという。手にしているのは地元の郷土玩具の張子で、現在その技を習得中だ。

<吉井秀三さん>
子育て環境のよい鳥取へ。リモートもリアルも充実

 鳥取市街から車で約30分ほど、城下町の風情が残る鳥取市鹿野町(しかのちょう)。2017年10月に移住した吉井秀三(よしいしゅうぞう)さん(43歳)も、東京からUターンして自宅で仕事をしている。一軒家に家族とともに暮らし、2階が仕事場。前職の会社から業務委託を受けて、リモートで全国各地にいる顧客のバックオフィス業務などを請け負っている。
 「リモートでできる仕事なので、以前から地方の一軒家で暮らしたいと思っていて。待機児童がいないところ(当時)で、故郷でもある鳥取市にしました」
 鹿野町に決めたのは、恵まれた自然環境や移住者の多さ、また演劇が盛んで県外者や外国人に出会える多様性などにひかれたから。空港に近く、自宅から東京まで約2時間という利便性も魅力だった。
 コロナ禍以前からリモートワークを実践する吉井さんは、リモートの利点をフルに活かす。「まず畑作業の時間を決めて、その合間に仕事を入れます。自分のやりたいことが優先ですね」。昨年秋からはイノシシ罠猟も始めたという。
 吉井さんは、リモートなどの新しい生活様式は地方のチャンスと考えている。「リモートワークで各地に人が分散することで、その地域でしかできないことが大切になってきます。子育て環境のよさや畑仕事はもちろん、公民館主催の料理教室など、意外とクオリティが高い体験を安価で楽しめたりします。リアルな体験は愛着を生むし、地域の魅力にもつながります」と期待を寄せる。
 オンラインとリアルをうまく活用して暮らす吉井さん。鳥取だからこそできる新たな楽しみを増やしていきそうだ。

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妻の麻妃さん(40歳)、息子の尚くん(3歳)と鹿野城跡公園で。移住に積極的だったのは兵庫県出身の麻妃さん。鹿野暮らしを満喫中だが「雪にはまだ慣れませんね」と笑う。

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鹿野の中心地から少し離れた住宅地に立つ一軒家が、吉井さんの自宅兼オフィス。近くには天然温泉もある。

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自宅の2階が仕事場。「ここは完全に仕事の部屋で、食事や休憩は1階です。オンオフの切り替えと自己管理がリモートのキモですね」と吉井さん。

●鳥取市のうっとりPoint●
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戦国時代、亀井玆矩(これのり)公の居城があった鹿野城跡公園。春には約500本のソメイヨシノが咲き誇る花見の名所で、特に水面に映える夜桜は幻想的。

●鳥取市TOPICS●
「屋外セレクト市「山陰三ツ星マーケット」」
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フード、雑貨、小物、ワークショップなど、山陰各地のこだわりと心のこもった、オリジナリティのあるものが集まる。鳥取駅前エリアで開催されリピーターも多い。
https://www.mitsuboshimarket.com

「ヤミツキ系のご当地グルメ「ホルそば」」
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ウシのホルモン入りの焼きそばは、鳥取市を中心に約50年愛されているご当地グルメ。ホルモンの部位やタレが店舗によって異なり、それぞれの店の個性ある味も楽しみだ。

●鳥取市の移住支援情報●
IJUターン者が、鳥取市に空き家として登録された物件に入居する場合、家財道具処分費と改修費の合計額の2分の1(上限40万円)を助成。首都圏から一定条件を満たして移住する方に移住支援金(2人以上の世帯100万円、単身60万円)を交付。「森のようちえん」をはじめ、小規模校転入制度や遠距離等通学費補助金など、子育て世帯に寄り添った取り組みや制度も充実している。オンライン相談も随時受付中。

問い合わせ:鳥取市地域振興課 ☎0857-30-8173

宝島社発行「田舎暮らしの本2021年3月号」掲載

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