移住体験談

廃校利用で夢の競技場が完成。江府町を「BMXの聖地」に

BMXプロライダーが〝奥大山〟にほれて移住

西日本の名峰・大山(だいせん)の南山麓にあり、地元では「奥大山」と呼ばれている江府町。広大なブナ森を有し、その恵みの美しい水は町いちばんの自慢だ。ここでは今、全国、いや世界からも注目される可能性大のスケートパーク(競技用専用公園)プロジェクトが着々と進行している。

仕掛け人は、自転車競技BMXのプロライダー冨永勇太さん。2016年4月に家族で江府町に移住した。冨永さんは岡山県倉敷市出身、17歳でプロデビューし、世界規模の大会「アジアンXゲームズ」に日本代表で出場した経歴も持つ、トップクラスのライダーだ。

江府町を選んだのは、「自給自足のような暮らしと、自分で家を建てたかったから。あと奥大山の自然とおいしい水!」と自転車ファーストではなかった。ただ「畑にコースをつくろうというプランはありましたね」と笑う。江府町でBMXができるスポットを模索するうち、廃校の小学校の存在を知ったのがプロジェクトの始まりだった。「天候に左右されない体育館もあり、さらにプレーヤーが競技場をつくる例はほとんどないので、これは価値があると直感しました」(冨永さん)。

また、ここにコースをつくった最大の理由は景色。「ジャンプ場から奥大山の絶景がバッチリ見える! こんな抜群のロケーションはここだけですからね」。


パーク設計工事の経験もあった冨永さんは地元観光協会などと「奥大山スポーツ協議会」を立ち上げ、地元の人の献身的な協力も得て2020年10月、自転車競技BMX専用の屋内施設「Big Mt. Rooms」を完成させた。

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BMXスケートパークのメイン会場となる体育館。ビッグジャンプのバックに奥大山が映える! BMXは、Bicycle
Motocrossの略で、冨永さんはフリースタイルパークを得意としている。

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ジャンプ台をはじめ、パークは木材でつくる。地元の人の協力も得ての“手づくり”で、体育館の両端をいっぱいに使いスリルも演出。

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お気に入りの「水汲み場」で子どもと一緒に。山の湧き水は真夏でも冷たい。「江府町は水がまろやかで最高。飲み水にも料理にも使います。この水でいれるコーヒーもうまい」。

田舎暮らしから生まれた2つの理想に向かって

冨永さんは現在、仕事場と自宅に2軒の空き家を使っている。仕事は、美しい色彩が表現できるシルクスクリーン印刷だ。「岡山で1年半修業してから独立、町の補助金も活用して創業しました。一枚一枚集中して手作業するので、独立した仕事場があるのは助かります」。

じつは県外からの発注も多く、そのほとんどがBMX仲間の紹介だという。やはり自転車はライフワークだ。

「今年から無農薬での米づくりも始めました。家も自分で建てたいし、自給自足が理想ですね。田舎暮らしは目的を持つと楽しいですよ。いい意味で誘惑がないので、自分の時間が持てます。正直、誘惑には弱いので、家計的にも助かっていますね(笑)」

冨永さんには自給自足ともう1つ、〝江府町から世界へ〞という目標があるという。

「表現力が重要なBMXは〝生き様〞が出るスポーツです。みんなの憧れになるような、海外で通用するライダーを江府町から生み出したい。パークの完成でその可能性が広がると思うとワクワクしますね」

彼の華麗なジャンプのごとく〝魅せる〞BMXライダーが誕生すれば、江府町はBMXの聖地になっていくだろう。

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シルクスクリーンの作業をする冨永さん。最近はトートバッグのプリント依頼が急増、1日200枚以上こなすことも。

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「Big Mt. Rooms」 https://www.instagram.com/big_mountain_rooms/

●information● 鳥取県江府町
「田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たような」古い民家の雰囲気を残しつつ、快適に過ごせるようにリフォームしたお試し住宅「みらいや」。1日~最長3カ月まで宿泊利用できる。
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移住定住相談窓口「N P O法人こうふのたより」☎0859-72-3122

宝島社発行「田舎暮らしの本2020年11月号」掲載

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