移住体験談

新卒移住。仕事は市内で、週末も自分らしく。「移住して!」と言わないまち、鳥取市用瀬(もちがせ)町。

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「滞在3時間で用瀬の虜に」

 そう話すのは、新卒で埼玉から鳥取への移住を決意し、現在鳥取市用瀬町に住みながら、市内のIT企業で働く深沢あゆみさんだ。

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 深沢さんは明治大学に通い、大学卒業後はそのまま東京での就職を考えていて、地方とは無縁だった。そんな深沢さんが用瀬と出会ったのは、大学3年時に参加したプログラム「明治大学創設者ふるさと活動隊」のフィールドワークがきっかけである。何も知らないままプログラムの一環で訪れた用瀬。しかし、駅につき、一歩まちに入った深沢さんに衝撃が走ったという。

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 「自分にとっての理想的なロケーションだった。用瀬って水がきれいじゃん。本当に、山と町の色合いとか、なんていうんだろう、普通のまちなんだけど、どこをとってもきれいな景色があるから、とくに何もないけど素敵なところで、直感でぴーんときたかな」と当時を振り返る。

 そしてぽろっと呟いた。
 「みんなこの景色知らないのもったいないなと思う」と。

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 用瀬での滞在時間はたったの3時間だったのだが、
 「プログラムを通して色々なまちに行って、もちろんどこも良かったんだけど、用瀬はなんかわからないけど帰ってからも特に印象深くて、特別枠みたいな感じだった(笑)」と話す。

 この直感が、進路を180度変えるきっかけとなり、新卒で移住するまでに至ったのだ。実際に住んでからも、はじめに感じたまちの景色の魅力は変わらず、毎日見ても飽きることはないと教えてくれた。

世代を超えたつながりが「当たり前」にある用瀬

 深沢さんに最近あったエピソードを聞くと、つい先日も、平日の夜に近所の人たちとの食事会に誘われたばかりと言う。
 日ごろから食事会があることについて「嬉しいし、ありがたいし、おちつく。なんか『しみるね』(笑)」と幸せそうに笑う表情がとても印象的だった。

 色々な知恵を嬉しそうに教えてくれる70代、働き盛りで仕事の相談にもたくさんのってくれる40代、そして人懐こく秘密基地に案内してくれる子どもたち。そんな世代を超えた付き合いが「当たり前」にある環境について、深沢さんは「移住したからこそ味わえたこと。本当に感謝しています。」と話していた。

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「暮らしをつくる姿を追いかけたい」

 そう話すのは、深沢さんと同様に学生時代に用瀬と出会い、現在は鳥取県大山町との二拠点生活を送る松浦生さん。若者が引き込まれる暮らしの面白さが、世代を超えた付き合いの中にあるという。

 「例えば、お盆にお墓の花立を竹で作るんだけど。竹林の中に巨大な発電機と丸のこを持って行って、即席の製造ラインをつくるんだよね。バンバン文明の利器を使って作業する光景に超びっくりした(笑)」

 過疎化で人手が減る中、伝統や文化を大切にしつつ、柔軟に現代的な知恵を活かしていく、その姿に日々学ばされると話す。

 「楽しめる範囲で、柔軟かつ最大限に自分たちの生活を作る精神を持っていて。そしてそれが次の世代に受け継がれている感じはすごくするよね」

 自分たちで豊かな暮らしを育む、そんな営みは実は最先端なのかもしれない。

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移住をして世界が広がった

 世代を超えたつながりにくわえて、用瀬には地域と若者をつなぐ宿&コミュニティ「もちがせ週末住人」がある。ここには県内外から多くの若者が日ごろから行き来する。このコミュニティでの出会いを通して、都会にいる時より多様な人と交わる機会が増え、深沢さんは自身の性格について、「アクティブになった」と話す。

 「東京に居たらもっと人と関わっていなかったと思う。大学までは決まりきったコミュニティの中で人間関係が完結してずっと育ってきた。でも用瀬に来て数え切れない人と出会って、その人たちとなんかアクションを起こして時間を共有して。たぶん東京で働いていたら、いいも悪いもそれぞれあるけれど、今よりきっと味気ない生活というか、色濃くない生活をしていたんじゃないかなあ。」

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 そして「自然と話しあえるコミュニティって、探そうと思ってもなかなか出会えないから、魅力的。本当に唯一無二の存在だなぁといつも思う。」としみじみと話していた。

 きっと、このコミュニティがあることも,深沢さんが用瀬に住み続ける理由なのだろう。

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実は個性を発揮しやすいのかもしれない

 地方創生や地域活性化という言葉があちこちで言われるようになって久しい。移住者は“地域のために”何かを求められる気もする。ただ、そんな大義名分はなくとも、仕事をしながら、趣味の延長でお店をつくったり、イベントを開いたりする人たちがいる。
 用瀬で週末限定のお店「takemuratei」を営む竹村智行さん・尚子さん夫婦は、長男が生まれたことを機に、2011年2月に東京から引っ越してきた。智行さんは、用瀬の隣・佐治町の出身で、いわゆるUターンだ。

 「用瀬は商売しとった町だから、わりと間口が広いんだよね。けっこうウェルカムしてくれるから過ごしやすい。」と言う。

 一方の兵庫県西宮市出身の尚子さんにとって、用瀬は当初、知らない人ばかりのまち。仕事や子育てをしながらも、自分たちがやりたいことをできるようにと、夫婦で力を合わせ、自宅の土間でライブを開いたり、自宅前の建物で飲食営業ブースのある工房「イエロービル」を、仲間のクラフト作家らとオープンさせたりと、やりたいことをやっていくことで町にも知り合いが増えた。

 「同じことを都会でやろうとしたら、何倍もお金がかかるし競争にさらされちゃう。実は個性を発揮しやすい場所なのかもしれないよね」

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「好きなものは何で好きかわからないから好き」

 深沢さんに用瀬が好きな理由について聞いた。
 その答えは「好きなものは何で好きかがわからないから好き」ということであった。理由など考えずとも心の奥底から好きだと感じられる。深沢さんにとってそんな場所が用瀬で、そこも魅力の一つなのだと思った。

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 「移住」はとても大きな決断ではあると思いますが、深沢さんは直感を信じて行動したからこそ、居心地の良い生活を送ることができているのだと感じました。
 「あたたかさに溢れている」
 そんな表現が、用瀬に短期間暮らしたことのある私たちにもしっくりきます。

 竹村さんは「移住して欲しい!っていう人はあんまりいないよね。なんも考えてないのかも」と笑っていましたが、きっと「移住」にこだわらず、一人一人の生き方に素直に向き合って、居心地の良い関わり方を見出すことを認めてくれるまちなのだろうと思います。

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