移住体験談

海も山もあるクオリティーの高い田舎で、夫はカフェとホテルを経営、妻は地元の事業者のデザインなどに携わる

町の人や移住者と出会い「住んでみようかな」

 「私は、移住したいとは思ってなかったんです。もちろん田舎で子育てするなんて想像もしていませんでした(笑)」
 そう話すのは、2016年に大山町へ移住した小谷まどかさんだ。東京で生まれ、埼玉で育ち、東京で働いていたまどかさんは生粋の都会っ子。東京では、CDジャケットや広告、パッケージなどのデザイン制作をしていた。大山町を知るきっかけは、同じ職場にいた知人が大山町に移住したことだ。15年に会社を辞めたまどかさんは、アイルランドで1カ月過ごしたのち、知人を頼って大山町を訪れる。
 「大山町の場所もわからなかったですし、山陰本線の御来屋みくりや駅に降りたときは、なにもなさすぎて驚きました」
 大山町で1カ月過ごす間、先輩移住者や地域の人と触れ合い、さまざまな話を聞いた。
 「出会った方から『住めば?』と言われて。あと、『きづかい』の方がたがまちづくりに真剣にそして楽しそうに取り組んでいたので、『面白そう。住んでみようかな』と思いました」
 築き会は、大山町のIJUターン者による任意団体で、地域のまちづくり団体「やらいや逢坂」と協働で活動。古民家を再生させた「まぶや」を拠点に、移住の相談窓口や交流イベントなどを行っている。

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正面に日本海、裏手に大山北壁をのぞむロケーション。
空き家になっていた建物をリノベーションして開業した。
鳥取県西伯郡大山町大山45-5 KOMOREBITO Gibire Food & Cafe
☎050-5241-2022 https://www.komorebito.com/

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 「まぶや」の縁側で築き会の中村隆之さんと。中村さんは移住歴15年の素潜り漁師で、移住者のサポートを行う。小谷さん夫妻とは、親戚のような付き合い。

美しい海も山もあるクオリティーの高い田舎

 移住を決意したまどかさんは、築き会のメンバーが購入した家を片付けながら住むことに。
 「仕事は、私が暮らしていけるようにと、周りの人たちがあれこれ紹介してくれました(笑)。店や家の解体や掃除などですが、今までの仕事とはまったく違うので新鮮で勉強になりました。デザインの仕事を依頼してくれる方も、人の繋がりから紹介していただいた方がほとんどです。」
 その後、大山町へUターンしてきた英介さんと17年に結婚、同じ年に英太くんも授かった。
 「大山町は海も山も畑もあって、自然のフィールドに困らない。夏は海遊びや野菜づくり、冬は雪遊びと、四季を感じながら育つ環境はありがたいです」
 英介さんは、地域と観光の交流拠点として、大山の麓に「コモレビト」を17年7月にオープン。スタッフも移住者だという。
 英介さんは、「メニューは、できるだけ地産の食材を使っています。今は特に、大山のイノシシのジビエに特化したメニューを提供しています。また2019年の秋からはカフェの上を宿にしました。宿泊された方と地域の方がかかわれる場所にしたい」と話す。
 19年秋からは「大山参道ホテル 頂 ITADAKI」も開業。「宿泊された方と地域の方がかかわれる場所にしたい」と英介さんが話すとおり、ホテルに泊まり、周辺の提携旅館で食事をいただく。今後は各種アクティビティも案内できる体制を整えていく予定だ。
 まどかさんは、カフェの立ち上げ時に企画からかかわった。現在は以前の仕事を活かし、地域の会社や商品のデザインやコーディネートなどを企画立案から行っている。
 「大山町は海も山も田畑も美しい、クオリティーの高い田舎だと思っています。それは一次産業の方がたがあってこそ生まれる風景です。そこになにかしらかかわる仕事をしていきたいです」とまどかさん。
 若い移住者が増えている大山町。日本海と大山という雄大な自然に加え、そこに住む人も移住の大きな要因となる。小谷さん夫妻もまた大山町の魅力の1つになっていくことだろう。

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 大山の恵みをたっぷり受けて育ったイノシシ肉「大山ジビエ」を気軽に楽しんでもらえるよう、ハンバーガーなどに。イノシシ肉に合うオリジナルのソースで、くさみなどもなく美味しく食べられると好評。

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 「サンセットカフェ」は、大山の懐に抱かれるように立つ建物の2階にある。1階は大山町観光案内所だ。
 大山の麓に抱かれるように建つジビエカフェとホテルがある「コモレビト」。

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 育てた野菜を収穫する英太くん

●information● 鳥取県大山町
 日本海から名峰・大山の山頂まで、海と山の両方が楽しめる。コミュニティ・スペース「まぶや」に、相談窓口として「大山町移住交流サテライトセンター」を設置。町と協力して空き家情報の提供や移住相談などのサポートにあたり、若い世代の移住者が増えている。
<問合せ先>大山町企画課 TEL  0859-54-5202

宝島社発行「田舎暮らしの本2019年8月号」掲載

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