移住体験談

田舎過ぎず、都会過ぎず、ちょうどいい

都市的な便利さがあり海などの自然が豊か

 「米子市は、田舎過ぎず、都会過ぎず、ちょうどいいところ。お店もデパートもあるし、海もあって自然が豊か。なにより食材が豊富でおいしいです」
そう話す安達香澄(かすみ)さん(61歳)は、夫の(つよし)さん(53歳)とともに「おうちカフェ しぇ・あん」を営んでいる。
 店は米子市街から車で15分ほど、砂浜の美しい弓ヶ浜海岸は国道を挟んだすぐ近くにある。普通の田舎の家のような外観で、のんびりと寛げる店だ。香澄さんが料理を、毅さんが接客を担当している。
毅さんは「しぇ・あん」の近くの出身で、愛知県名古屋市で住宅関係のサラリーマンをしていた。料理研究家の香澄さんは名古屋市出身で不動産関係の仕事に従事するかたわら、料理好きを活かし飲食店を営んだりしていた。
 毅さんの両親の高齢化もあり、「定年前のまだからだが動くうちに戻り、新しいことを始めたい」と考え、2008年に米子へ移住。当初は、隣接する境港(さかいみなと)市で家を借り、毅さんは米子の会社に勤務していた。
 あるとき、自転車で移動していた香澄さんが、一軒の空き家を見つけた。しかし、家はボロボロで床も抜けるような状態だった。それを自分たちで改修。10年11月22日の「いい夫婦の日」に店をオープンした。

常連客のボウリング同好会メンバーと談笑。右から橋本さん、安達さん夫妻、生田さん、本田さん。

常連客のボウリング同好会メンバーと談笑。右から橋本さん、安達さん夫妻、生田さん、本田さん。

「おうちカフェ しぇ・あん」の入り口。

「おうちカフェ しぇ・あん」の入り口。
不動産関係の仕事をしていた香澄さんによると、「家探しは、自転車か歩きで探すのがいい」とのこと。
おうちカフェ しぇ・あん(H31.2現在移転休業中)

1300円のランチセットは、おかず・ご飯プレートにスープ、デザート、コーヒー付き。

1300円のランチセットは、おかず・ご飯プレートにスープ、デザート、コーヒー付き。
地の野菜や魚を使った優しい味だ。

弓ヶ浜半島の海底湧水から塩をつくるイベント。塩にぎりと地元産ネギ焼きをみんなで食べた。

弓ヶ浜半島の海底湧水から塩をつくるイベント。塩にぎりと地元産ネギ焼きをみんなで食べた。

店をきっかけに人とのつながりが生まれる

 おうちにいる気分になれるようにと店名は「おうちカフェ しぇ・あん」。開業1カ月後には、口コミで多くのお客さんが訪れ、安達さん夫妻はうれしい悲鳴を上げるようになった。常連さんも増え、なかには時間を忘れて寛ぐ人もいるという。8年の間には、さまざまな困りごとや悩みもあったが、徐々に余裕が出てきた。そこで、近年はさまざまなイベントやライブ、ワークショップなどを行ったりしている。
プライベートでも、香澄さんは常連さんとボウリング同好会をつくり、月1回集まって楽しんでいる。毅さんも手づくりカヌークラブで自作のカヤックに2年がかりで取り組んだ。
 さらに今年の6月には、毅さんの実家へ店を移す予定だという。毅さんのお父さんは宮大工で、200坪もある庭には工房や倉庫、さまざまな材木や木工機械が残っていた。そこで、今度は店のほかに、木工などができる体験工房もつくる。「移住した当初は、寂しくて畑で泣いたこともありますが、店を始めてからはさまざまな人とつながりができました。今ではお客さんが私たちの家族や親戚のようです」と香澄さん。
「次の店は自分たちの終の住処。将来を考えてつくっていきたい」と毅さん。
米子にU・Iターンして、夫婦で始めた店。さらに次のステップへと飛躍していくようだ。

毎日、天気がよければ夫婦で弓ヶ浜海岸を散策する。浜に流れ着いたシーグラスを拾うことも。

毎日、天気がよければ夫婦で弓ヶ浜海岸を散策する。浜に流れ着いたシーグラスを拾うことも。

移転先となる毅さんの実家で。ここはカフェスペースとなる予定の場所。

移転先となる毅さんの実家で。ここはカフェスペースとなる予定の場所。
「まだこんな状態ですが、6月にはオープンします」と香澄さん。

毅さんが手づくりしたカヤック。先日、進水式もすませたそうだ。

毅さんが手づくりしたカヤック。先日、進水式もすませたそうだ。

●information● 鳥取県米子市
鳥取県の西端に位置する商工業都市で、米子城跡や皆生(かいけ)温泉などを有する。皆生温泉から境港まで続く弓ヶ浜海岸は美しい砂浜で有名。日常生活の利便性が高く、医療・介護も充実。
<問合せ先>米子市総合政策課 移住定住相談窓口 ☎0859-23-5359

宝島社発行「田舎暮らしの本2018年6月号」掲載

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